「自分を表現しろ」

「『This Is Me』。自分を表現しろ、みたいな感じの映像だった。覚えている。印象に残っている」(河上将平)
「グレイテスト・ショーマン。映像とかを使って、奮い立たせるのがうまいなとは思った」(杉田真彦)

「グレイテスト・ショーマンが今の藤枝のサッカーの核になっている」

『グレイテスト・ショーマン』とは、失敗を繰り返しながらも、決してくじけない主人公が個性を持ったエンターテイナーを集め、型破りなショーで人々を驚かせるミュージカル映画。須藤はこのメイキング映像を選んだ。

「我々、藤枝MYFCは、もしかしたら、雑草とか、ちょっと挫折が多いっていう選手が集まってきている集団だった。でも、その中には、ストロングの部分ですごいものを持っていて、でも、ちょっと自分に自信なさげな選手たちがいて、そんなときに『This Is Me』というメイキング映像を流して、『いや、違うんだよ』と。自分は、自分で輝ける場所があるんだから、そこで輝こうぜっていうのが、藤枝のサッカーの根本にある」

1本の映像は選手の心を動かしていく。
「チャレンジしようと。(これまでは)ミスしないように、ミスしないようにと安パイなプレーをいままでしていたが、『自分を表現したい』と強気な気持ちになった」と河上。地元・藤枝出身の鈴木翔太は「もちろん、ウイークはあるが、それよりもまずはしっかり自分のストロングの部分を出して、臆することなく、いまでも意識しながらやっている」と前を向く。

常にポジティブな言葉で、選手たちを奮い立たせる須藤だが、決して順風満帆なサッカー人生ではなかった。神奈川・桐光学園高3年生で靭帯損傷のけがを負い、東海大学でサッカーを続けるも、プロからのオファーはなし。多くのセレクションを受け、ようやくプロサッカー選手になった苦労人だ。

「やっぱり、挫折のときにやり続けたことが、いま、1個1個つながってる。大きくジャンプするために1回しゃがんでるんだと捉えられるようになったので、いまは『ネガティブなことは一切ないのです、この世の中には』っていう思考」