「選手のために泣ける監督」

2023年5月のモンテディオ山形戦。キャプテン・杉田真彦がプレー中、靭帯断裂の大けがを負い、残りのシーズンに出場することができなくなった。

杉田は、そのときの監督の言葉が今でも心に残っている。
「自分が1人でロッカーにいたとき、みんな帰ってきて、須藤さんが泣いてくれた。『こいつをJ1に連れて行くぞ』とみんなの前で熱く言ってくれた」

「けがをしたのは(重要な)清水戦の前。(杉田は)ハーフタイム、泣きじゃくっていた。あれはいまでも鮮明に覚えている。選手にとってやりたい試合っていうのは、必ずあるわけで、そこにすら立てないっていう状況になってしまったので、自然とそういう言葉が出たかなと」

「選手のために泣ける監督なんて初めて。本当に感動したし、大事な試合に自分は出れないが、本当にチームを応援しようという気にも、すぐそのときになれた」。杉田は長いリハビリを乗り越え、今シーズン、再びキャプテンマークを腕に巻く。

須藤の選手を想う熱い気持ちが信頼へとつながり、藤枝MYFCの原動力となっている。

「めっちゃポジティブ」(河上将平)
「とにかく選手のストロングな部分を見てくれる」(久富良輔)
「みなぎった自信っていうのが、若い選手やチームに活気を与えている」(水野泰輔)

「狙いはオッケー。狙ったミスとそうじゃないミスは、明らかに違う」

トレーニング中に何度も飛び出すそのポジティブな言動は、須藤自身の経験からきている。

「ミスとかは絶対責めないけども、やらなくなるとか、諦めるとか、つらいから人任せにするとか、そこはもう怒る。怒るっていうかもう、暴れる。自分も選手時代、少しネガティブなプレーや自信を失ったとき、もうサッカーしたくないというときもあった。そういうのは選手には感じてもらいたくないっていうのが一番にある」

2021年、藤枝の監督に就任してからの最初のミーティングで、須藤が流した動画が、選手たちの心を掴んだ。