国宝・松本城の「三の丸」とは、天守のある「本丸」公園となっている「二の丸」のさらに周辺。お堀を埋めて市街地になっている場所で、エリア別に10の魅力があります。
いま生まれ変わろうとしている「三の丸」。観光客と地元住民、どちらからも愛される「新しい城下町」の姿とは?

国宝・松本城。
この日も国内外から大勢の観光客が訪れていました。
県内有数の観光地として人気の松本城一帯ですが、訪れた人はどのような印象を持っているのでしょうか??


(茅野から)「駅から歩いて来たがすごく道が整備されていてきれいで歩きやすかった」

「山がすごく近い町で都会の中の自然という感じ」

(新潟から)「きれいな街だね松本大好きで、山もきれいだし将来住みたい」

やはり観光客の評判は上々。
一方、地元の人はというと…。

(地元住民)「ちょっとお城だけかなという感じがする」

「松本の古いところを残しつつ、交通の渋滞緩和や駐車場の整備を特にしてほしい」

実は今、松本城を中心とした城下町が新たな姿に生まれ変わろうとしているんです。

(松本市お城まちなみ創造本部・青山千華さん)「昨年3月に松本城周辺エリアの将来像を示した三の丸エリアビジョンを民間と一緒に作りました、キーワードは『誰かに語りたくなる暮らし』」

現在、松本市では、松本城の周辺「三の丸エリア」を住民とともに新たな街並みに生まれ変わらせようとしています。

「三の丸エリア」とは、かつての総堀と外堀の間のことで、10のエリアに分けてそれぞれ独自の方針を持って街づくりが進んでいます。

松本城に向かうシンボルロードともいえる大名町通り。
通り沿いには、まち歩きにほっと一息つけるベンチが…。

「これは住民が設置しているもので『三の丸テラス』という取り組み人が憩うことができる空間を作ろうと取り組んでいる」

「ザ・三の丸テラス」と名付けられたベンチを設置したのは地元の住民たち。
行政に任せきりにせず、市民自らがまちづくりに携わります。

「この通りは、松本城に続いているので必ず観光客の動線として通る道路になっている」

『訪れた人が何度も通いたくなる街』というコンセプトのもと、にぎわいと癒しが共存する空間づくりが進められています。

一方、地元の人も課題に挙げていた交通渋滞の緩和については思い切った対策も…。

「(松本城の目の前まで来た大規模な工事が)ここは幅31メートルの道路になろうとしてます、今は一方通行なんですけど将来的には相互通行になる予定で広い歩道もできる予定になっている」

ここで進むのは、道路の拡幅工事と外堀の復元工事。
2024年春には拡幅工事を終える予定で、「一方通行が多い!」という松本市街地のイメージも様変わりするかもしれません。

このほか、松本城の北側にある旧鷹匠町(たかじょうまち)。
この地区は、2019年に国宝に指定された旧開智学校と松本城に挟まれ2つの国宝の間に位置しています。

「この一帯は最近、空き家が増えているんですがそういった空き家を活用して様々なことに取り組んでいる地元の方が増えています」

住宅地となっているこのエリア。
2つの国宝に近く、観光客が多く訪れる一方で、空き家が増えているという課題を抱えていました。
そこで!空き家を活用する新たな動きが。
レンタルスペースとセルフカフェを営む城町文庫(しろまちぶんこ)。

(城町文庫・藤木大介代表)「(ここはどういったコンセプト?)ここは城町文庫といって『毎日違うお店』に変わっていけたら面白いをテーマにしたお店、棚には小さなお店として約40のお店が入っていて設置してる人がこの地域に来てそれを見に地域の人が来るので地域にとって活性化につながるのではないかと思っている、ここは住宅街でもあり観光客が来るエリアでもあるのでそういった方が交流できるようなエリアになったらいいと思っている」

地元に愛着を感じ、訪れた人をあたたかく迎えようと地域と行政が一体となって進める松本城周辺のアップデート。
新たな城下町の姿に期待が高まります。