JR東海は3日、リニア中央新幹線の構造物での活用が期待される材料の「バサルトFRP筋」の大量生産を可能とする世界初の技術を開発したと発表しました。
JR東海によりますと、バサルトFRP筋は玄武岩を原料としたバサルト繊維を使って作られる材料で、鉄筋に比べて磁界の影響を受けない上に、電気を通さずに腐食しないほか、重さもおよそ5分の1と軽くて、強度もおよそ3倍あるといった特長があります。

これまでのバサルトFRP筋は、製造に長い時間がかかり、コストが高いことが、リニア中央新幹線への適用に向けた課題になっていましたが、製造方法を改良し、これまでは一般的ではなかった、熱を加えると軟らかくなり、冷却すると硬くなる熱可塑性樹脂を使って、短時間で様々な太さのバサルトFRP筋を大量に生産できる世界初の技術を開発したとしています。
リニア中央新幹線の構造物では、超電導磁石の力で走行するリニア車両にかかる抵抗を小さくするため、磁界の影響を受けにくい特性を持つ鉄筋を使っていますが、こうした鉄筋の一部をバサルトFRP筋に替えることで、リニア車両が走行する際の抵抗が抑えられ、電力消費量の低減に繋がるほか、大量生産が可能になったことで、製造コストの低減が期待できるとしています。

今後は、実験線での試験を続けるほか、腐食しないという特長を生かして、塩害の影響を受けやすい東海道新幹線の浜名橋梁の橋脚のひび割れ防止工事に使うことにしています。