およそ140年にわたって、代々続く老舗食堂の味を受け継ぎたいと29歳の男性が奮闘しています。
地元では有名なある経歴の持ち主です。


飯田市主税町(ちからまち)にある「満津田(まつだ)」。

創業は明治20年という老舗食堂には連日、多くの地元客が訪れます。

名物はカツ丼。


カツは肉厚でやわらかく、数ある丼や定食の中でも店の一番人気です。

満津田 松田誉彦(たかひこ)さん:
「肉をたたくときにぼくは力いっぱいたたくのがコツだと思ったんですけど、父が言うには厚さを均一にすることがやわらかさの近道」

この店の6代目を受け継ぐべく6月から店に入った松田誉彦さん29歳。

厨房で腕を振るう、5代目店主の父・道彦(みちひこ)さんから教えを受けています。

松田さん:
「5月の最後の日曜日に、夏場所の千秋楽の日に断髪式をやっていただきました。髷を切ってこれからお相撲さんじゃなくなるなって思ったときはちょっと感慨深かったですね」

実は松田さんは元幕下の力士。

店の名前と同じしこ名「満津田(まつだ)」として12年間、相撲を取り続けてきました。

引退を決断したのはおよそ1年前。

転機は突然訪れました。


松田さん:
「父が病気になってしまって、一度倒れたんですけど、倒れてもなお足にサポーターを巻きながらトンカツとかカツ丼を作るうしろ姿を見て、自分も隣で支えてあげたいなっていう思いがどんどん強くなっていって決断した」

5月の夏場所で引退するまでの12年間で、生涯成績は230勝231敗。

休場はたった1度だけ。

成績は意識していないという松田さんですが、、1度だけの休場について振り返ります。

松田さん:
「1回だけ休んでしまったんですけど、やっぱり地元の皆さんがすごい応援してくれたので」
「出なかったときにもう心配の電話とか協会に問い合わせとかがたくさん来てしまって、こんなに応援していただいているのに少しのけがで出ないのは失礼だなと思って、そこから皆さんの期待を裏切らないように出てました」