日本で唯一の診療船「済生丸」離島の医療を支える

瀬戸内海に浮かぶ一隻の船…その船の中には、島で暮らす多くの高齢者の姿がありました。

(診療の様子)
「『病院行きなさいよ』とか『肺炎あるよ』っていわれたことありますか?」「ない」「前立腺がんの検査していますか?」「全部、ここで去年やった」

700を超える島が浮かぶ瀬戸内海。医療施設の少ない離島の医療を支えるのが海を渡る診療船「済生丸」です。

済生丸は、岡山や香川など4県の済生会の支部などが運営する国内で唯一の診療船で、ほぼ毎日瀬戸内海の60の島を巡回し診察や検診を行っています。

「このまま撮影しますので動かないでお願いします」
「なんの検査なんですか?」
(済生丸職員)
「病気の早期発見のための『肺がん』検診の目的で胸のレントゲンを撮影しています」

船内では、レントゲンや心電図などの精密機械を用いた健康診断のほか、血液検査も行うことができます。本土へ行かなくても、船の中で大規模病院並みの検査を受けられるのです。

取材したこの日、済生丸は倉敷市の水島港から笠岡市の北木島、白石島を巡り病気の早期発見のため島の住民の検診を行いました。島で暮らす人々は、何十年も前からこの船で診察を受けています。

(白石島の住民)
「歳?99歳。来年になったら100歳になるもう一年したら」
「Q診療船が来てくれることはどう思いますか?」「ええなぁ。うん」

(北木島の住民)
「(済生丸は)総合的な検診がしてもらえるので、悪かったら診察を受けないさいって連絡が来るからあてにしております」

岡山・香川には、合わせて38の有人島がありますが、その約半数の島には診療所などの医療施設がありません。

【有人島:岡山14・香川24 / 医療機関のない有人島岡山6・香川10】
(2023年岡山県・香川県離島振興計画より)