『約310人、全体の10パーセント。』
これは熊本県警の女性警察官の数です。年々増えていますが今も決して多いとは言えないのが実情です。そんな警察官を志した新人女性の奮闘を追いました。

「おはようございます」(新人警察官)
熊本県警察学校。新人警察官87人が、日々警察官としての基礎を学んでいます。
このうち女性は21人です。
「ひとつ、誇りと使命感を持って国家と国民に奉仕すること」(熊本県警 金子 仁美 巡査)

警察の職務倫理を大きな声で言う熊本市出身の金子仁美(かねこ ひとみ)巡査(25)。新人たちの副総代、リーダー的存在です。
金子さんは熊本地震の時、自らが避難していた大学で警察官の活躍を目にしてこの道を志しました。
「おばあさんを警察官の方々が避難所までおんぶしてくる姿や、困っている人を助けている姿を見て」(金子 巡査)
今は一人前の警察官になるため、訓練の日々。この日は、走り込みの訓練です。

走り終えた直後、教官から新たな命令が。

「(1500メートル走で)出しきったと思っただろうが、まだ授業は続く。これで終わりじゃない。もう1回出しきる、いいか」(教官)
「はい」(新人警察官)
男女で訓練のメニューにほとんど変わりはありません。
身長180センチの金子さん、警察に入るまではバスケットボール選手として山梨県のチームで国内最高峰のリーグを戦っていました。

体力に自信がある金子さんも苦しい表情。

訓練の合間の昼食。
「いただきます」(新人警察官)
教官が同席する食事の席は緊張感に包まれ、休まる時間はほとんどありません。

訓練は学校の外でも。
この日は66年続く伝統の登山訓練。警察学校から15キロ以上離れた金峰山の頂上まで走ります。

厳しい訓練を乗り越えるために支えとなるのは同期の仲間たちです。
決して弱音をはかない金子さん。苦しい今のその先に目指す警察官の姿があります。
「刑事課に行って、犯罪をなくせるような警察官になりたいと思っています」(金子 巡査)