多忙な日々の過ごし方 そして高市総理との関係

――官房長官として初めての国会を終えました。まずは、その感想を聞かせてください。また、少し痩せたのではないかと感じますが、プライベートな時間はありますか。

木原官房長官:昨日、高市内閣として初となる臨時国会が閉会しました。総合経済対策の裏付けとなる補正予算を成立させることができましたので、物価高などで厳しい状況に置かれている熊本の皆さんをはじめ、地方の方々にいち早く支援の果実が届くよう、地方議会にも速やかな執行をお願いしたいと考えております。

初めて国会を終えた感想としては、まず一番困っていらっしゃる方々のための物価高への対応に果敢に取り組んできた、ということが言えるかと思います。補正予算の中身は、高市総理が総裁選で訴えてきた国民の皆さんとの約束を果たすことができたのではないかと思っています。特に「強い経済」と「強い外交安全保障」の実現に向け、政権として一定の方向性を示すことができました。来年の通常国会の令和8年度予算の芽出しのようなこともできたのではないかなと思います。

具体的には、生活の安全保障・物価高への対応として8.9兆円を措置しました。ガソリン・軽油の値下げは車社会の熊本にとって恩恵を受ける方が多いでしょうし、電気・ガス代の支援、特筆すべきは重点支援地方交付金だと思います。2万円の子育て応援手当の支給は夫婦と子ども2人の場合には1世帯あたり標準的には年間8万円を超える支援額となることが見込まれます。

ガソリン・軽油も暫定税率の廃止は1月1日ですが、それを待たずにこの時点ですでにガソリンスタンドに行くと25.1円が安い価格で給油することができる、まさに補助金を引き上げることによって負担軽減の効果を実感してもらっているのではないかと思う。

それから、補正予算の編成については、新しく連立パートナーになった日本維新の会、その合意文書を基礎として、連立パートナーだけでなく各党からも政策提案を柔軟に受け入れました。官邸にも各党の要望を私が各党の代表から受け取り、中身を見させていただいて、この補正予算に反映できるものは反映させたということもあります。とりわけ国民民主党、公明党の皆さん方からは賛同もたまわったということになります。まだ10月21日からですから50日程度ですよね。短時間でも精力的に議論をして与野党の皆様方ともそういった協調関係ができたという点は、一国会議員としても政府の立場としても感謝申し上げたいなと思います。

今回、政府提出法案、臨時国会には10本、そして通常国会から継続審議となっていた1本あって、計11本すべてが成立したということになります。

今後は、年内にやらないといけないことが結構ありまして、税制改正のとりまとめ、来年度の当初予算の編成、これが実は今、佳境を迎えていまして、国会が終わったとは言え、まだ気を引き締めて政権の運営にあたりたいと思っています。 

プライベートなことですが、痩せましたかね?体重計に乗る時間もない、というのが正直なところです。危機管理という点から24時間、緊張状態にあるのは確かです。実際に地震もありました。地元に帰りづらいという状況は防衛大臣の時代も経験をしていたのでだいたい状況は変わらないです。気分転換には家でAmazonプライムビデオを見ていますが、続き物は寝不足になるので自制しています。運動不足が一番心配なので、SPさんがいないと自分勝手に外に行くこともできませんから、家の中でできる運動をしています。妻がピラティスの資格を持っているので、教えてもらいながらやっている、という状況です。

――高市総理の「台湾有事は存立危機事態になり得る」との発言について、中国側から様々な反応があり、熊本県内でも観光などに影響が出始めています。この状況をどう受け止め、発言についてはどのように考えていますか。

木原官房長官:存立危機事態の認定にかかる政府の見解は、「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して判断する」というものです。これは平和安全法制が成立した安倍総理の当時から、政府として一貫して繰り返し述べてきた通りです。私も防衛大臣として何度もこの答弁をしてきましたし、高市総理も私自身も全く同じ立場です。

総理の国会答弁は、存立危機事態は法律上の定義として「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生すること」が要件とされており、武力攻撃が発生していない場合に存立危機事態を認定することはない、という趣旨を述べたに過ぎません。これまでの政府の一貫した立場に変化はない、とご理解いただけたらと思います。