今年8月、八代市の国見岳で遭難した男性が救助されたニュースを覚えていますか?あれからおよそ2か月、男性が当時の状況を語ってくれました。

ボランティアの捜索隊によって奇跡的に発見されるまでの7日間。
生死を分けたのは本人はもちろん、家族や友人たち、そして警察や消防・ボランティアといった名も知らぬ人たちの「あきらめない心」でした。

8月16日、国見岳で遭難した38歳の男性が救出された際の映像です。
「体が痛い?下半身がとても痛い」

遭難から1週間。あの時、国見岳で何が起きていたのか?
男性は「自身の経験が次の遭難を防ぐことになれば」と生死をさまよった7日間を語ってくれました。

8月10日、友人2人と国見岳を訪れた男性は、登山経験が少なかったことから2人に迷惑をかけたくないと、先に1人で下山を始めました。
そして15分後、道に迷ったことに気付きます。

遭難した男性
「下山する道を見失ってしまったので、これはちょっとまずいなと思いました」

初めて登った国見岳。道を求め下へ下へと向かいました。慣れない山に精神的な動揺も重なり、斜面で足を踏み外し滑落してしまいます。

その滑落で男性は足の骨が見えるほどの大けがを負いました。
「4リットルの水を持って行ってました、1日の登山で。滑落の時にリュックから落ちてしまって残りが800ミリぐらいしかなくて」

思うように動かなくなった体。命をつなぐ食料もありません。遭難 2日目には持っていた水も無くなりました。喉の渇きと戦いながら、沢を探し歩きます。
ようやくたどり着いた沢でしたが…

「沢の水が合わなかったと思うんですけど、何回も嘔吐して。それが一番きつかったです」

この頃。男性の妻も戦っていました。
男性の妻
「一言で言うと地獄ですよね。生きているのか死んでいるのか分からない。どこにいるのか分からない」

生後3か月と小学生、子ども2人の世話をしながら不安だけが募っていきます。
男性の妻
「ご飯を食べたら主人に申し訳ない、寝てしまったら主人に申し訳ないような気持ちになって」

言葉にできないほどの苦しい時間が過ぎていく中、手に取ったのはスマートフォンでした。