熊本県水俣市の中心部から車で約20分の所にあるヒノキの山。東京ドーム 110個分にあたるこの敷地は、1970年に創業した農場「モンヴェール農山(のうやま)」です。

モンヴェール農山 農山 照夫 社長
「あそこも製材所があって、こっちはドッグラン」

農山社長
「これはヤギ。そして、うちの農場はむこうにある」

ー 今、音が聞こえているのは?
農山社長
「豚です」

山の中の農場には養豚場。そして製材所・ドッグラン・レストラン・人工の滝など。
農山社長が考えたものばかりです。

農山社長
「皆さんに来てもらってゆっくりしてもらう山。滝はやはり水があった方がいいなと。音もだし、流れる雰囲気を見たら安らぐ。ドッグランは何年か前から準備していた。犬が走り回っていたらいいなと」

生まれ育った津奈木町(つなぎまち)で10頭ほどの豚の飼育から始めて53年。徐々に養豚の規模を広げていく中で、水俣で見つけたこの山林は社長にとって理想の土地でした。

農山社長
「ここを何か大きな山にしたいというか、大きな木がある山の中で暮らしたいといというのが私の夢で、だから養豚しながらいろんなことをやっている。ヒノキの間から木漏れ日が入ってくる。あれはもう自然っていいなと思う」

ヒノキの山を育てるために豚を飼う。これが今の農山社長のポリシーなのです。

ー 理想の山まで完成度は何割?
農山社長
「まだ2~3割ですね」

長女 春香さん
「その残り8割は、私は分からないので。後はもう知りません。もう先はそんなに長くないのに8割と言われても…笑」

そう話すのは、農山家の長女・春香さん。農場は家族経営で春香さんたち、4人きょうだいが農場の役割をそれぞれ分担しています。

春香さん
「ずっと家業を手伝ってと言われた訳でもないし、お前がソーセージ作れと言われた訳じゃないけど、何かしたいなって気持ちはあったので」

標高300mの涼しい気候と山の地下水を飲んで育った「モンヴェールポーク」。
脂身までコクが深くて甘いと評判の自社ブランドの豚肉です。

そのおいしさを生かそうと春香さんが志したのはソーセージ作り。大学を卒業して1年間、国際コンテストの受賞経験もある有名店でドイツ製法のソーセージを学びました。

春香さん
「豚肉の加工を含めて、全てこちらの工場で行っています」

8年前に建てた工場で自慢の豚肉を使った加工品を製造します。

春香さん
「去年、自動充てん機を導入した。(作る量が)増えてきたのともっとこれから増やしたいのと両方ですね」

ソーセージには、新鮮な豚肉のミンチにドイツの高級スパイスと芦北町(あしきたまち)の塩を使用。

春香さん
「肉の旨味を味わっていただかないといけないので、材料のバランスは大事かなと思う」

そのシンプルな生地で作られるのが正統派の味「ドイツウインナー」

さらに…

春香さん
「こちらがローズマリーをベースとして数種類のハーブをブレンドしたものが入っています。こちらはチョリソー。全部含めたら30~40種類はあると思うんですけど」

バリエーションの多さが特徴でもある「ドイツソーセージ」この農場でもいろんな種類が作られています。

中でも豊富なのがボイルして食べるタイプ。その訳は?

春香さん
「スモークをかけて最後にスチームで加熱するけど、(ボイルして食べたほうが)スチームした後の一番出来上がりの状態に近くなる」

調理は簡単!沸騰したお湯に5分浸しておくだけ。

春香さん
「やっぱうちのが美味しいねって言いながらみんなで食べるんですよ。もう!って思うこともあるけど、やっぱり社長が目指しているところに一緒にやりたいなっていう思いがあります」

アイデアマンの父を支えたい一心でたどり着いた絶品ソーセージ。味わってみてはいかがでしょうか?