水俣病の患者・被害者団体と伊藤信太郎(いとう しんたろう)環境大臣の懇談中に環境省の職員が団体側のマイクの音を絞った問題で、大臣と職員がきょう(5月8日)熊本県の水俣市を訪れ、謝罪しました。
発言を制止された参加者の思いです。
水俣病患者連合 松崎重光副会長
「やっぱ悔しい。悔しかったですね。私は人間じゃない扱いをされたのかなと」

きのう(5月7日)、目に涙を溜めながら「悔しかった」と語ったのは松崎重光(まつざき しげみつ)さんです。
松崎さんの妻・悦子(えつこ)さんは水俣病の症状を訴えながらも水俣病と認められることなく去年(2023年)4月に亡くなりました。

水俣病の公式確認から68年となった5月1日。
伊藤環境大臣が「重要な機会」とした水俣病の患者・被害者団体との懇談会に、松崎さんは参加しました。

松崎さん
「私の妻は去年の4月に痛いよ痛いよと言いながら死んでいきました」
悦子さんの苦しみや思いを訴えている最中に問題は起きました。
松崎さん「私はいつも家内と話していました…」
環境省職員「申し訳ございません。話をまとめて下さい」
(発言を続けようとするが音が出ない)
他の参加者「切られた、スイッチが」

発言時間が事前に伝えていた3分を過ぎたとして、環境省の職員がマイクの音を絞ったのです。

この対応に参加者からは怒りの声が。
参加者「マイクの音量の調整をしたのかだけ確認させて下さい」
環境省職員「事務局の不手際でございました。申し訳ございません」

参加者「マイクを切ったことをどう思われますか」
伊藤大臣「私はマイクを切ったことを認識しておりません」

松崎さんは悦子さんへの溢れる思いを3分で語ることはできないと話します。
松崎さん「やっぱり話していくと涙が出てくるから、なかなか先に進まないんですよね」

松崎さんは謝罪ではなく、悦子さんのように68年経っても水俣病の症状で苦しんでいる人たちへの救済を求めています。

松崎さん「頭を下げろとかなんとか、そういう言葉は私は使いたくないです。被害者に対していい方向に持っていかなければと考え直してもらえば。切り捨てじゃなくって」