福岡市の住宅街に4月、ちいさなカフェがオープンしました。「障害があってもその人にあった仕事ができるように」という思いで作られたカフェです。
◆障害者福祉施設が運営する「よつばカフェ」

全部で10席ほどのこぢんまりとした店内、城南区別府にオープンしたばかりの「よつばカフェ」です。ランチや喫茶メニューを手ごろな価格で味わうことができます。
お客「ちょうど私たちに合った味付けで、スープも熱々でとてもおいしかったです」「とってもおいしいです」
スタッフ「お待たせしました。日替わりランチです」
RKB若松康志「ありがとうございます、ロールキャベツも乗っていて、すごくおいしそうです。実はこのカフェ、障害者福祉施設が運営するカフェなんです」
オープンさせたのは、福岡県内で6つの施設を運営するさざなみ福祉会です。これまではお菓子の製造・販売をしたり、簡単な作業を請け負ったりしていましたが、飲食店は今回が初めてです。
さざなみ福祉会 岡本朗理事長「利用者の中には、飲食関係とか経験がある人も、接客業が好きな人もいるので、1回チャレンジしてもいいのかなと」
◆難しい「接客」に挑戦

「きょうも一日よろしくお願いします」「よろしくお願いします」
飲食店では、その場に応じた対応が求められることも多いため、オープン前に研修を重ねました。カフェで働くのは、いずれも知的障害のある坂井謙治さん(48)と嵜村睦子さん(41)。これまではチラシの折り込みを担当していましたが、みずから希望してカフェの仕事に挑戦することになりました。
Q.飲食に興味があった?
坂井謙治さん「飲食に(興味が)ありました」
嵜村睦子さん「商品なので、食器を落とさずに持っていけるか」
Q.それに気を遣っていた?
嵜村睦子さん「うん」
◆プレオープンで実際の接客を

慣れない接客や料理の配膳に戸惑いながらも、1つずつ手順を確認していきます。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
さざなみ福祉会 岡本朗理事長「地域の中で障害者が働く中で、お客さんとコミュニケーションを取って、顔なじみになっていくことは、とても大切なことかなと思いますね。障害のある人も仕事をしているのを見てもらうことは理解にもつながる」
正式なオープンまで3日、この日は、研修の仕上げとして近くで働く人たちをお客さんとして迎えます。
坂井謙治さん「だいぶ緊張しています」
きょうのメニューはハンバーグランチ。初めてのお客さんを前に緊張しながらもそれぞれの役割を果たしていきます。無事料理が完成し、お客さんの元へ……。
客「すごい優しい味がして、おいしいです。また来たくなるような雰囲気があって、すごく好きです」
◆「自分の仕事だという意識で働くのは人を豊かにする

ちょっと疲れた様子の坂井さんと嵜村さんですが、接客にやりがいを感じていました。
坂井謙治さん「『坂井さんおいしいです』と言われて、喜びました」
嵜村睦子さん「お客さんが来てくれるからやりがいがある」
さざなみ福祉会 岡本朗理事長「仕事があって、自分のお給料だけじゃなくて、皆から頼られたり、自分の仕事だという意識の中で働くことは人を豊かにすることかなと。障害があってもその人にあった仕事を作っていって、そういう機会を増やしていってあげたいなと」