◆「国際卓越研究大学」になるとどうなるか
そして、これからのことなんですが、「国際卓越研究大学」という制度です。
田中:実は2022年には「国際卓越研究大学」という制度ができ、いま公募が行われているんです。政府が作った10兆円のファンドの運用益を、5~6個ぐらいの大学に分配する。10兆円が3%で運用されれば3000億円ですから。『欲しいところは手を挙げなさい』と。
田中:ただしこの「国際卓越研究大学」になると、簡単に言うと、大学の運営も政府が見られるようになっちゃうんですね。政府と財界が中心となって、使い道をちゃんと見る。さらに、今はシステムとして経営評議会だったり、大学には会議体があるんですけども、最高意思決定機関を新たに作って、その半分以上が学外の人。例えば、東大、京大、九州大学がもし国際卓越研究大学になると、もう大学の全てのことが学外の人や政府に握られると。
神戸:はー。ほぼ「大学の自治」というのものが失われているという感じもしますね。
「国際卓越研究大学」とニュースで時々目にはしていましたけれども、最高意思決定機関が新たに作られて、半分以上の方が外部の人になり、ほとんど学外の人や政府に決定権を握られるのではないか、と田中さんは危惧しているわけです。5~6大学に3000億円くらいを分配するということですから、トップクラスの大学が全てそうなっていく流れができているんだと思いました。
大変驚くような中身満載のルポルタージュでした。
神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。







