裁判所「事理弁識能力及び行動制御能力は、著しく減退はしていなかった」

福岡地裁(大島泰史裁判官)は、弁護側の心神耗弱だったとする主張について詳細に検討したうえで退けた。

裁判所は70歳の女の犯行前後の行動について「ホッチキスの芯を3、4針ずつに分けて、まっすぐに伸ばしておき、被害店舗では、芯を入れやすい数種の食品を選んで、突き刺すなどして混入させた上、買い物を済ませ退店している」と認定。
「こうした行動状況は、十分に合目的的であって、行動は制御されていたというべき」と判断した。

また、起訴前の簡易精神鑑定についても触れ、「『衝動性制御の障害』と診断されているが、精神障害としての内容及び犯行に至る機序が明らかとはいえず、同鑑定でも責任能力の若干の低下が生じていると結論付けられているに過ぎない」として、「事理弁識能力及び行動制御能力は、著しく減退はしていなかった」と結論付けた。