上映作品に鮮烈な驚き

「実相寺アングル」。映画館で観ましたが、かなり特徴的です。この日最初に上映されたのは歌番組『坂本九ショー』(1963年)でした。歌う坂本九氏の足元しか映っていなかったり、ロングでずっと映した映像をズームインして鼻と口しか映らなかったり、かなり驚かされます。「どうしてこのカットなんだろう?」と思うのですが、とにかく面白いのです。坂本九氏って私たちよりかなり年上の人なので、「こんなに魅力的な人だったんだ」と初めて分かったという感じでした。

なぜかドラム缶の前で展開する『坂本九ショー』

『坂本九ショー』(1963年6月8日放送)
ドラマ風の演出で魅せる、TBSに残る最古の坂本九出演の音楽番組。手持ち長回しを駆使した九氏のヒットメドレーや、司会・古今亭志ん朝氏の軽妙なトーク、原知佐子氏のナイーブな朗読などで飽きさせない構成。音楽番組なのに精巧なドラマ用のセットを組んだ。構成:永六輔出演:坂本九、古今亭志ん朝、永六輔、いずみたく


次いで上映されたのが、ドキュメンタリー『ウルトラQのおやじ』(1966年)で、特撮の神様・円谷英二氏に密着したドキュメンタリー。怪獣たちが応接間で円谷氏に「見ている人を怖がらせればいいのか、親しまれればいいのか」と質問するのです。斬新ですね。

怪獣からインタビューを受ける円谷英二=(c)TBS

『ウルトラQのおやじ』(1966年6月2日放送)
『サンダ対ガイラ』の撮影風景や、怪獣による円谷氏へのインタビューなど、構成・編集・音楽どれを取っても実相寺節全開。出演:円谷英二、円谷一、金城哲夫