囁かれる汚職疑惑、相次ぐ幹部の失脚
何衛東副主席の動静途絶の背景には、汚職疑惑が強く囁かれています。しかし、問題は彼一人にとどまりません。現在の中央軍事委員会は、トップの習近平主席を含め当初7人で構成されていましたが、昨年以降、現職の国防相を含む2人(李尚福前国防相、苗華政治工作部主任)が既に処分されています。
もし何衛東副主席も処分されるとなると、制服組6人のうち半数の3人が失脚するという異常事態となります。中央軍事委員会は事実上、軍の意思を決定する機関であり、そのメンバーの半数が処分されるとなれば、その影響は計り知れません。
何衛東副主席は、3月上旬から中旬に北京で開かれた年に一度の国会(全人代)では壇上に並んでいました。3月13日の催しにも出席が確認されていますが、4月に入ってすぐの軍の恒例行事には姿を見せませんでした。公に確認された中では国会出席が最後となったため、中国ウォッチャーの間では「軍の中で何か異変があったのではないか」という憶測が飛び交いました。
ホームページから「消された」活動記録
何衛東副主席が調査を受けているという情報がより確定的になったのは今月に入ってからです。中国国防省のホームページ上から、何衛東氏の過去の活動記録が「消去」されたのです。
ホームページには高級幹部の過去の活動を検索できるコーナーがありますが、「何衛東」と漢字3文字で検索しても、検索結果はゼロ件でした。一方、もう1人の中央軍事委員会副主席の名前で検索すると、視察や重要会議への出席、演説など数百件もの情報が表示されます。
しかし、軍の公式ホームページにある組織図には、依然として軍のナンバー3として何衛東副主席の顔写真が掲載されています。これは、過去の活動は消し去られたものの、現在も調査の対象という段階であり、中央軍事委員会の副主席、そして軍籍を解任されたわけではないためと考えられます。







