弁護団「判決は、死産後の母体の状況に全く触れていない」

判決後、グエット被告の弁護団は会見し、「判決は孤立死産のあとの母体の状況について全くふれていない。孤立死産した女性を処罰することで何が得られるのか、裁判官3人に問いたい」と話した。
グエット被告の弁護人
「これはグエット被告1人の闘いではなくて、すべての女性、あるいは男性も含めて、孤立出産や孤立死産の問題に取り組む皆さんの思いをのせた闘いだ」
孤立出産への支援が届きにくい

妊娠を誰にも打ち明けられずひとりで出産する「孤立出産」は後を絶たないが、特に、技能実習生には支援が届きにくい現状がある。
日本で唯一、「赤ちゃんポスト」が設置されている熊本市の慈恵病院。

「赤ちゃんポスト」には、やむを得ない事情で育てられなくなった子供を匿名で預けることができる。
病院では、身元を明かさずに子供を産むことができる「内密出産」を3年前に導入し、これまでに41人が出産した。
しかし、技能実習生に対しては、支援が難しいと話す。特有の事情からだ。

慈恵病院 蓮田健院長
「ほとんどが大きな借金を背負って家族のために来ている場合が多く、借金が返せなくなる。ですからどうしても妊娠がわかってしまうと隠そうとしてしまいます。外国人実習生の方というのは言葉が通じないのでなかなか検索が難しいと言うこともあると思います」
5年前、死体遺棄罪に問われたベトナム人技能実習生

各地で相次ぐ技能実習生の孤立出産。熊本県でも5年前、20代のベトナム人女性が、自宅で死産した双子をタオルでくるみ、段ボール箱の中に入れ、死体遺棄の罪に問われた。

1審、2審と有罪判決が言い渡されたが、最高裁は、「遺棄にはあたらない」として逆転無罪とした。
なぜ技能実習生の多くが孤立出産に追い込まれるのか。
熊本の裁判を担当した弁護士は、妊娠を明かすと管理団体や働き先などから不当な扱いを受けるケースが多いからだと指摘する。

ベトナム人女性を弁護した石黒大貴弁護士
「多くの企業において過去、妊娠して解雇させられたりとか、帰国させられたりとかいう事案が相次いだんですね。妊娠検査薬を使用させられ、その結果を教えるようにとかですね、そういうおよそ日本人の労働者では考えられないようなそういう扱いも受けています」