9年前の”Nさん事件” 「男と女のことなので・・・」精一杯のSOS

実は本多被告をめぐり、一度警察が動いたことがある。
9年前、ひとりの元女性従業員が、本多被告を「強姦未遂」で告訴した。
警察は本多被告の自宅やペットショップを家宅捜索したが、結局、不起訴処分になった。

この時、Dさんも警察から事情を聞かれた。

検察官:Nさんが強姦未遂で告訴したとき、
    Dさん自身の被害について、警察から質問がありましたか?
Dさん:ありました。「男と女のことなので」と言いました。
    肉体関係があることを分かりにくく言いました。
    「それはどういうことですか」と聞いてほしかった。
    助けてほしい一心で言いました。
検察官:なぜ話せなかったのですか?
Dさん:話すと被告からしたら裏切り者になるので殺されると思った

Dさんは本多被告からの被害を警察に知ってほしかったが、「男と女のことなので」というのが限界だった。
「私も被害を受けています」とは言えなかった。

Dさん
「ちくった(告げ口した)ことになるから、
 私がちくった、ということにはできなかった、殺されるから。
 ほかの従業員もみな警察に「私も被害を受けている」とはいえなかったと
 言っていました。
 もしあの時、『それって無理矢理じゃないですか』
 『本当に同意してたんですか』とさらに聞いてくれていたら、
 もしかしたら言えたかもしれない。でも分かりません、
 警察を責めることはできないと思っています」

実はこの時、Dさんはネットで「警察 性被害 相談」について検索した。
すると「警察に言っても無駄」「警察は何もしてくれない」という言葉が山のように出てきた。
それも警察に言うことを躊躇した理由のひとつになった。

Dさん
「強姦未遂についても検索しました。
 仮に逮捕されて有罪になっても刑務所から出てくる。
 そしたらどうなるか・・・。
 簡単に反省するような人ではないので。
 そう思いました」

9年前、Dさんたち元従業員の女性たちは、それ以上警察に口を開くことはなかった。

そして”Nさん事件”は、本多被告が不起訴処分になり事件化することはなかった。