空白の4時間 何があったのか 検察の主張
検察側は、21日未明に自宅に帰宅して翌日午前7時55分に出かけるまでの約4時間の間に、渡辺被告が何らかの方法で彩さんの首を圧迫し殺害したうえ、殺人の発覚を恐れ通報せず遺体を放置したと主張している。
空白の4時間 渡辺被告の主張
弁護側の冒頭陳述や渡辺被告の証言によると、妻の彩さんはマンションに帰宅した渡辺被告を正座させ罵倒した後、台所から持ち出した包丁の柄で床についていた渡辺被告の右手の甲を強打。
全治2か月以上の粉砕骨折を負わせた。
その後も彩さんから手付金を用意できないことなどを罵られ、渡辺被告は我慢できず彩さんの頬を平手で殴った。
手を出したことで彩さんが離婚を切り出してくると考え、彩さんを無職に追い込み、親権や慰謝料で有利な立場に立とうと、彩さんが8年前に教員をしながら副業をしていたことについて話したという。
「お前の仕事なんて簡単に辞めさせられる。副業のことを勤務先の小学校に言う」
この口論の最中、渡辺被告はたばこを吸うために約30分、口論をしていたリビングから離れた。
そして、午前5時頃、リビングに戻ってくると彩さんが土下座のような状態で倒れているところを発見した。
彩さんは失禁していたうえ、顔は白く、叩いても応答がなかったことから死亡していると思った、と話した。
弁護側は、「自殺の可能性が否定できない」と主張している。
(弁護側の冒頭陳述)
被告人は、被害者に対し、殺意をもったこと、及び、その頚部を圧迫して窒息により殺害したこともない。
被害者は、自分で自分の首を紐状にしたビニール製の買物袋で強ぐ絞めた際に輪状軟骨が骨折して気道閉塞により窒息した自殺である。
異なる法医学者の見解
彩さんの死因をめぐっては、法廷に出廷した法医学者の見解も割れている。
検察側の証人として出廷した解剖医は、「自殺の可能性は低い」と証言し、弁護側の証人として出廷した法医学の専門家は、「自殺した可能性が高い」と証言した。