映画館に来ていた「シオンの娘」たち

取材を受ける方舟の女性メンバー=©TBS

トークショーの客席に、「イエスの方舟」の女性12人も座っていて、私たちの話を聞いていました。私は彼女たちに質問したくなって、マイクを渡しました。千石剛賢さんとまさ子さんの娘、千石恵さんです。

千石恵さん:当時から、女性ばっかりがクローズアップされていましたけれども、たまたま千石剛賢の子供が全部娘だったので、当然友達も女の子になって、お友達もやっぱりいろんな悩みとかも抱えていて、話をしているうちに「一緒に聖書を勉強しましょう」と。ただ当時、プレハブみたいなところに住んでいたので、それで理解が得られなくって。普通のいわゆるカトリックとかプロテスタントとかきちっとした教会みたいな形を持っていれば、もう少し理解を得られたのかもしれませんけれども。一緒に聖書を勉強している男性もいます。でも、女性を取り上げた方がマスコミとしては面白いというか、世間が注目しやすいということで、あえてマスコミの方たちが女性ばっかりをクローズアップされたんじゃないかなと思っています。

神戸:共同生活には男性はいなかったけれど、聖書を学ぶ中には当時からいたということですか。

千石恵さん:そうです。もちろん。男性は男性、家族は家族、ご夫婦はご夫婦。で、教会では女性だけが住んでおります。あまりにもすごい誤解、一方的にいろんなことを作り上げて、私達は追われる形で「逃避行」と呼ばれてしまったんですけど、「ハーレム教団」とかいろいろ言われましたけど、実際父がいて母がいて娘がいて、そんなところでハーレムなんてあり得ないので、逆に「そういうことを考える方が非常にハレンチだな」と、私たちはその時ものすごく憤慨しておりました。

神戸:こういうトークショー、すごいと思いませんか?当事者の方がいらっしゃる福岡ならではですよ、すごいことですよね。

来場していることに気付いていない人もいました。どうやって過ごしてきたのか、肉声を聞けたのはすごくうれしいことでした。どういう団体だったのか、実は僕らもわかっていないんじゃないかと思います。

千石恵さん:どこまでも私たちは「聖書を勉強しているグループ」であって、教祖がいて、狂信的にみんなが信じているわけではありません。映画の中でも、「人生でキリストのことをやっぱり一生懸命学ばなきゃいけない」と父が言っておりましたけれども、聖書を勉強するということと、いわゆる宗教とは違います。だから、父が亡くなったからといって、みんなが後追いをするというようなことは絶対なかった。私たちの信念は変わりませんので、ただ、誰かがまとめ役にならなければいけないので、今は母がまとめ役。前は父が「おっちゃん」と言われていましたが、今は母が「おっちゃん」と言われています。

千石剛賢さんの妻まさ子さん(91歳)もマイクを握る

母の千石まさ子さん(91歳)も会場に来ていました。お元気で、お店では自ら歌も披露しています。ほかの女性たちも、ごく普通の人だなという印象でした。