山崎さんは、戦後、佐賀県に生まれました。結婚後は、長崎に移り住みましたが、今は故郷に戻って暮らしています。

山崎良子 さん
「ここの布以外は使わない」

友人宛てにプレゼントとして贈ることがきっかけだった布手紙は好評で、周囲の誘いもあり、各地で展示会を開くようになりました。

山崎良子 さん
「好きな布が見つかり、表現できる。もらった人が喜んでくれる。それが一生楽しい。死ぬまでできることだから」

会場にある布手紙の多くは、原爆を題材にした作品です。しかし、妹を原爆に奪われた母の富子さんからは「つらい記憶を思い出すから出展しないでほしい」と、止められていたそうです。

山崎良子 さん
「心配しないでいい。処分するからと言ったら、母が『いつか役に立つときがくるから取っておいて』と言った。わたしは、原爆・戦争も知らないからこういうふうに布手紙にできる」

富子さんが語ることができなかった過去のできごとを、多くの人に知ってもらいたい―。山崎さんが、広島の人たちに伝えたかったことです。

山崎良子 さん
「原爆で被害にあった家族は、いろいろな意味で苦しんだ。戦争になるかもしれない時代に(争いが)あったらいけないと伝えたい」

企画展は、7月2日の日曜日まで開かれています。これとあわせ、原爆で家を失った市民に家などを建てた、アメリカ人の平和活動家フロイド・シュモー氏を紹介した絵本の原画展が開かれています。入場料は、無料です。