竹森被告に言い渡された判決

そして迎えた2月12日。冷たい雨が降りしきる中、竹森被告に判決が言い渡されます。定員60名の傍聴席は満席になりました。
竹森被告は深緑色のフリース姿で法廷に入りました。
これまでの公判でも、大きく表情を変えること無く、資料が映し出されるモニターを淡々と見つめる様子が印象的だった竹森被告ですが、この日も特に動揺は感じられず、落ち着いた様子を見せていました。
そして午後3時、広島地裁の後藤有己裁判長が判決文を読み始めます。
「主文 被告人を懲役15年に処する」
争点となっていたDNA型鑑定については、「遺留品の靴下に付着していた血痕は竹森被告の血液である」と認定しました。
その上で、「血痕は事件当時、竹森被告が被害者の家に居たことを示しており、被告が犯人であることが強く推認される」と指摘しました。
事件当日のアリバイについては、「DNA型鑑定の結果から得られる事実に明らかに反する。極めて重要な犯行時のアリバイであるにもかかわらず、公判で初めて口にしたことから、全く信用できない」と指摘。
「被害者遺族の無念と衝撃の大きさは計り知れない」として求刑通り、懲役15年を言い渡しました。
まっすぐ前を向いたまま体をピクリとも動かさず、約10分間の判決を聞いていた竹森被告。車椅子を押されながら法廷の外へと出て行く竹森被告の表情は、うっすらと唇をかみしめている様にも見られました。
また、傍聴席からは、懲役15年という裁判長の声を聞いた瞬間に涙を流すような声も聞かれました。
実刑判決が言い渡されたものの、裁判中は事件に関して「記憶にない」以外語らなかった竹森被告。弁護側は「控訴は竹森被告の意向に従う」としています。