前原さんが「この駅は分かりますか?」「どっちに向かえばいいですか?」などと女性に確認しながら車を走らせていると、民家の前にパトカーが停まっているのが見えたということです。

「あそこかもしれない」と民家に向かうと、そこには人だかりが。

集まっていたのは女性の家族や近所の人たちでした。

そこで車から女性を降ろすと、そこにいた人々は驚いた様子で、女性の娘はその場で泣き出したといいます。

前原さんが送り届けた女性は、家族からの行方不明届を受理した警察が捜索中の高齢女性でした。

女性は「親戚に会う為の準備をする」と朝から買い物に行ったところで道に迷い、「10時間以上も歩き続けていた」と話していたということです。

当時の状況を前原さんは「放っておけなかった。時間が遅かったので『私が行かなければ誰が行くんだろう』という思いしか無かった」と振り返りました。

安佐南警察署の門田圭吾署長は、「誰にでもできることではない」と前原さんの勇気ある行動を称え、「もし目の前に困っている人がいたら、その人と一緒に警察官に相談するなど、積極的に力になってあげてほしい」と話していました。