日本被団協のノーベル平和賞受賞に合わせてノルウェーで開かれる展示会に、核の恐怖を描いたアニメーションが展示されることになりました。
光の点滅と電子音で表された核実験の数々…増え続ける数字に不安や恐怖を感じる映像作品です。

この作品は国立追悼平和祈念館の学芸員・橋本公さんが2003年に制作しました。橋本さんは金融業界を経て41歳で美術大学に進学。卒業の年に制作したのが映像作品『1945‐1998』です。

光の明滅は1945年以降、世界中で行われた2000回以上の核実験を表しています。
橋本公さん
「作品をグローバルに見てもらいたいと思い、言語は省いて国旗と数字、世界地図だけで表現した。誰もが理解できる要素だけで構成すれば一人でも多くの人に見てもらえるんじゃないかと考えた」

制作から20年以上…作品は主に海外の美術館などで展示されてきました。インターネット上にも作品はアップロードされ、これまでに合わせて2000万回以上再生されました。国外からの支持について、橋本さんは言語を超えた表現に加えて「核兵器の恐ろしさに対して敏感に捉える人が多いのでは」と語ります。
そして今回、日本被団協の受賞に合わせてオスロにあるノーベル平和センターで原爆資料館が所蔵する被爆者が描いた原爆の絵などと共に展示されることが決まりました。
「日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことは心からうれしい。特に代表委員の箕牧智之さんの活動は職場がある平和公園でこれまでずっと見てきたし、追悼祈念館の業務にも大きな協力をいただいてきた。それに自分の作品が参加させていただけるというのはこれ以上のことはない」
展示会は、平和賞の授賞式が行われるノルウェー・オスロで来月11日からおよそ1年間開かれる予定です。

「(作品を)制作してから20年が経っていますから『20世紀の後半はこんな野蛮なことをやっていたんだ、今はこんなに平和な世の中なのに、なぜあんなことをやっていたんだろう』と思われる世界であれば良かったが、実際には『また起きるんじゃないの』という危機感が(世界中に)ある。それ自体が大きな問題。作品を見て、(核実験の)次の段階に進んではいけないんだと。本当に核爆発を起こさせてはいけないんだとという気持ちを抱いて、なにか自分なりにできる範囲で(核廃絶への)行動を起こしてもらいたいと思う」