日本とアメリカの戦争の歴史を象徴するハワイ・パールハーバー国立記念公園。派遣団は、現地で交流を深めようと広島市が募集しました。

「被爆者としてこの地で被爆体験を伝えたい」―。そんな思いで応募した才木さんは、若者や87歳の被爆者・八幡照子 さんとともに訪れました。

日系3世 バーンズ・カメオ・ヤマシタさん(72)
「1941年12月、第二次世界大戦が始まり、日本とアメリカは戦争に突入しました」

日系3世の講演で才木さんは、戦時中、日系人が強制収容された歴史に熱心に聞き入りました。

日系3世 バーンズ・カメオ・ヤマシタさん(72)
「日系人としてアメリカの原爆投下はとてもつらい。しかしこれからは、過去を乗り越え、未来の平和を一緒に考えるべきです」

才木さんは自らの被爆体験がどう受け止められるのか、不安も感じていました。

才木幹夫 さん(92)
「日本の中で話をするのと、戦いが始まったパールハーバーで話をするのとでは違うのではと思いますが、ありのままを話したいと思っています」

才木さんの被爆証言はパールハーバー国立記念公園の一角で行われました。

才木幹夫 さん(92)
「この道の両端に黒い物体がずらっと並んでおります。全てが死体でした」

原爆の悲惨さを訴えたあと、「恨みを乗り越え、身近なところから平和を作っていこう」と呼びかけました。

才木幹夫 さん(92)
「相手を攻める、攻撃するのではなく、理解するということの大切さ、そういう思いと行動が大切だと思います。国と国との意識がそういうふうになって変わっていかなければいけないんじゃないかと思うんです」

会場からの質問
「平和な世界は来ると思いますか?」

才木幹夫 さん
「来ると思わなければいけない」

講話の後は、握手を求める列ができていました。

ユタ州から
「被爆者の話を直接聞くことは重要です。アメリカは『原爆投下が戦争終結を早めた』というが、間違っていると分かりました」

テキサス州から
「原爆被害は衝撃的でした。被爆証言を聞けば、過去を乗り越え、わかり合えると思います」

被爆者 才木幹夫 さん(92)
「本当に心から温かくどこでも迎えていただいたということが印象的でした。質問で『恨んでいないか』ということをちょっと言った子がいるんですけれども、『そんなことはないよ』と」