「コア」で広がる世界 誰もが自然に集えるように

にこさんは放課後、「コア」の3階にある「重症児デイサービス・あべに~る」を利用しています。

スタッフ
「ニコさんいただきます。はい、いただきます」

この日は特別支援学校が休校のため、朝から「あべに~る」へ。昼食は、山田さん手作りの「ケトン食」のお弁当です。

働くことを諦めていた山田さんですが、「コア」ができたらスタッフとして「ケトン食」作りに関わりたいと考えています。

山田いつかさん
「今までの私の知識、経験を使って新しいメニューを開発したりとか。私もケトン食のレシピ本を出したいという最終的な夢があるので、夢につながればうれしいと思っています」

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この日、村尾さんの自宅に集まったのは、障害のある子どもを持つ母親たちです。外出や子育ての大変さを共有してきた仲間たちー。「コア」は障害がある人もない人も、心地良く過ごせる場所にしたいと話します。

村尾晴美さん
「なんとなく同じ喫茶店の中でお茶してるっていう、そういう関係になりたいよね」
プロジェクトメンバー
「なりたい」
「子供たちも胃ろうから入れていたら『何?それ何?』って来るんよね。『お兄ちゃんね、ご飯食べれんけん、ここから食べるんよ』というのを自然に言えて」
村尾晴美さん
「『聞いちゃダメなんよ!』とかいうのではなくね」
プロジェクトメンバー
「そうなんよ。そこそこ」

村尾さんは「コア」ができることで、祐樹さんの世界が広がることも願っています。

「コア」プロジェクトを企画 村尾晴美さん
「もう本当にちっちゃく生まれて。生まれた2日後に数時間の命ですって言われたところからのスタートなので、そこから全てが“ご褒美”じゃないですけど。あの子たちの社会が広がる。あの狭い空間の中で生活していたのが、もしかしたら下に降りてカフェの店員さんができるかもしれなかったり、カフェに来るお客さんたちに声をかけてもらえるかもしれなかったり。あの狭い空間の中での生活が広がるっていうだけでもワクワクします」

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「コア」は色んな可能性を持ったきっかけの場所、経験・知識が集まる場所になる。同じ空間にいることで分かることも多い。

重い障害のある人たちと家族にとって、外出は負担が大きい。街なかでやっと見つけたトイレに大人用ではなく赤ちゃん用ベッドしか設置されていなかったり。ごろんと横になれる場所がどうしても必要だが街なかには少ないため「短時間で早めに帰る」「外出自体を諦める」という人も多い。「コア」を拠点に行動が広がりそう。

「コア」では子どもの介護で仕事を辞めた親たちも、カフェのスタッフや食品製造で働くことができる場所にするとのこと。子どもが調子を崩して働けないことも多いので、時間など勤務体系を柔軟にして気兼ねなく働ける場所を目指す。

また親たちの知識や技能を生かすスペースにする。親が講師になって勉強会や相談会なども開催し、一般の人たちも参加できるようにしたいという。

「コア」は4月着工、6月ごろのオープンを目指している。