斉藤国土交通大臣が4日を期限としていた名護市辺野古沖の軟弱地盤の改良工事の承認を迫る県への『指示』。その対応をめぐり、玉城知事ら県幹部は3日におよそ3時間半にわたって協議を行いましたが、結論は出ないまま、4日の県議会の代表質問にのぞみました。

玉城知事
「埋め立て変更不承認処分は、技術的にも法律的にも正しいことを強く主張してまいりました」

玉城知事は、県の敗訴が確定した最高裁判決について問われましたが4日の議場でも承認の『指示』への対応には言及しませんでした。

知事の対応について県議会与野党の反応はー

県政与党 照屋大河県議
「様々な政府からの圧力、働きかけについては一緒になって戦っていきたい、支えていきたいという気持ちを改めて伝えたい」

県政野党 島袋大県議
「国の最高機関の、法治国家の中で、沖縄県がずっと求めてきた裁判で敗訴しているわけですから、それをしっかりとくみ取ったうえでの判断をしてくれるだろうと私は思っています」

一方、名護市、キャンプ・シュワブのゲート前で埋め立てに抗議する市民からは、「知事による承認はあり得ない」などの声が聞かれました。

賛否が激しく交錯するなか、午後になって、県の担当部局に期限内に「判断できない」という玉城知事の判断が伝えられました。国に文書で回答するという内容です。

工事を承認しないことで、国交大臣は県に代わって工事を承認する『代執行』の手続きを取り、埋め立て工事を進める見通しとなりました。

【キャスター解説】

辺野古沖の軟弱地盤工事を不承認とした県の処分をめぐる裁判で先月4日に県の敗訴が確定して以降、悩ましい日々が続いた玉城知事。
最高裁判決を得た国土交通大臣が工事の承認を迫ってもなお、「判断しない」という方針を固めました。

玉城知事はこれまで辺野古移設阻止を掲げて当選したことや、県民投票でもおよそ7割が「埋め立て反対」という民意を後ろ盾にした政治家として、移設阻止を目指してきました。

一方で、県庁内からは知事の判断をめぐり、行政の長として司法の判決に従い、工事を「承認すべき」という声も聞かれます。

4日までの県幹部や行政法学者との協議でも、判断を見送った場合に県が訴えられる代執行訴訟の可能性も見据え、意見が交わされたとみられています。

民意をないがしろにできない『政治家』としての立場と、『行政の長』としての立場で揺れる板挟み状態が続いたすえ、承認するかどうか「判断しない」という方針を固めたということになります。