人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物=PFAS(ピーファス)が、アメリカ軍基地の周辺から高い濃度で検出されている問題。この問題について市民団体のメンバーが国連の会議に出席し、実態調査などを訴えました。「孫たちの未来のために」とスピーチに挑んだのは、カフェを営む女性です。彼女の思いとともにPFAS汚染をめぐる県内の現状を見つめます。

高濃度のPFAS検出も未だ原因の特定に至らない現状

「風があるしね、コロナなってからは結構外が好きなお客さん増えましたね」

宜野湾市でカフェを営む町田直美(まちだなおみ)さん。PFAS汚染の問題に取り組む市民団体『宜野湾ちゅら水会』の共同代表です。

2020年、アメリカ軍の泡消火剤が普天間基地の外に流出。基地周辺の水や土壌の汚染、そして健康被害への不安が高まりました。

『宜野湾ちゅら水会』は独自に調査機関へ依頼し、普天間第二小学校周辺の土壌を調査。PFASには、PFOSやPFOAなど数千種類ありますが、このうちPFOSがアメリカの基準値の29倍検出されました。

宜野湾ちゅら水会 町田直美共同代表
「私の孫も今度2年生になったが、あの状況で通学させるのはやっぱり辛いものがあるし、この土壌どうにかしたいなってやっぱり思っちゃう」

その後、町田さんらは土壌の入れ替えやアメリカ軍基地内への立ち入り調査などを国に訴え続けていますが、未だ実現せず、汚染源の特定には至っていません。

宜野湾ちゅら水会 町田直美共同代表
「みんなに気が付いて欲しいし、この状態は異常なんだから、みんなが何か行動すれば絶対何か変わるはずって思うわけ」

こうした市民団体の活動や県民の関心の高まりを受け、調査に消極的だった県も動き出しています。

玉城知事
「8月ごろから検体採取ができるよう、現在市町村と調査地点の調整を行っているところです」

来月から基地周辺以外も含む全県的な土壌調査に乗り出し、今年度末までに結果をまとめ、基準値の設定を国に求めたい考えです。

PFASをめぐる市民団体の活動について、玉城知事は―

玉城知事
「今後、市民団体とどのような連携を構築していくかということについては改めて、また今後検討していきたいというように思います」

宜野湾ちゅら水会 町田直美共同代表
「My name is Naomi Machida live next to Futenma airbase.」

この日、町田さんらは、国連の会議でのスピーチに向けて準備を進めていました。

(町田さんらやり取り)
「In the battle of Okinawa、沖縄戦ね、これ「B」だよね、「ヴァ」じゃないよね? In battle of Okinawa, Battle」

慣れない英語に苦戦しながらも、思いを届けようと意気込みます。

宜野湾ちゅら水会 町田直美共同代表
「アメリカは汚染源の特定と責任を果たしてください。それに対して日本政府もアメリカにちゃんと調査するようにお願いしてほしいと最後のところですね。私たちの子どもたちが、ここでずっと暮らせるように、あなたたちちゃんとしてよってことを言いたい」

町田さんらが出席する『先住民族の権利に関する専門家機構』は、国連人権理事会が各国の問題を吸い上げる場で、専門官による調査や総会での議論につながる可能性が期待されます。

町田さんのスピーチ・和訳
「私たちは国連に対し、子どもたちの安全と権利を守るための支援を訴えます。私たちは日本政府に対し、子どもたちを守るためPFAS汚染の実態を調査するよう求めます。私たちの未来の子どもたちのために、きれいな水を取り戻すために、力を貸してください!Thankyou!」

【記者MEMO】
会議は日本時間の21日までで、町田さんらは期間中、ロビー活動を通して県内のPFAS問題を広く訴えることや、各国のNGOなどと情報共有したいと話していました。実際にアメリカの国際弁護士の団体と意見交換を行えたということです。また帰国後は、県などに対し報告会の開催を検討しているということです。