沖縄市が今、スタートアップで熱いんです。新しいアイデアや技術で、これまでにない商品やサービスを生み出そうとする挑戦型ビジネス「スタートアップ」。そのスタートアップが地域の商店街に根付き、活気づいています。

沖縄市の「一番街商店街」。1975年に沖縄で初めてアーケード化され、本島中部の中心地でしたが、次第にシャッターが目立つ通りになりました。しかし、近年再び活気を取り戻しつつあります。
その起爆剤となっているのが、スタートアップです。今、一番街商店街には、45の企業・5人の事業者が次々に入居し、ビジネスを生み出す拠点になっています。
▼県外から移住した ITエンジニア
「みんながコザの事を考えて この街に新しいビジネスを生み出そうとする動きが合ったり、地域やコミュニティのつながりを通じて自分の人生をもっと豊かにしていける環境があって、それがすごく面白いと思って」
この街でスタートアップを盛り上げようと、毎年開かれるイベントがあります。 「KOZAROCKS」今年で4回目を迎え、経済と文化を育む場として、根付きはじめています。
▼豊里竜次さん/ KOZAROCKS実行委員
「ここまで街ぐるみでやるのは2回目ですけど 徐々に関わる街の人も増えてきて ありがたいなと思うのと みんなのイベントになってきたなと思ってます」
実行委員の豊里竜次さん。コザで生まれ育ち、幼い頃の遊び場は商店街でした。
▼豊里竜次さん/ KOZAROCKS実行委員
「コザは多様性の多い街 街の人たちも挑戦している人たちが多い。アイデアがある人達が『こういうことをやりたい』という時に『やってみたらいいさ』と背中を押してくれる人達がたくさんいる」

今年のKOZAROCKSイベント前日。トラックに積み込まれた備品を、みんなで手際よく運んでいきます。一番街商店街組合の理事長、親川雅矢さんは商店街に店を構えるおやかわ呉服店の3代目で、豊里さんとは同じ中学・2つ上の先輩です。
▼豊里竜次さん/ KOZAROCKS実行委員
「めちゃくちゃ頼りにしている先輩ですね。他の商店街だったら絶対断られるだろうなという企画もさせてもらってるんじゃないかな」
▼親川雅也さん/一番街商店街組合 理事長
「やっぱり外から入ってくる人もいますし、僕らより上の先輩たちで昔から商売している人もいるので、つなぎ役になりながら新しく発展していけたらなと思います」
迎えたイベント当日。熱い意見が交わされるトークセッション会場では真剣な表情で耳を傾けている人の姿がありました。封鎖したゲート通りにキッチンカーが出店し、訪れた人たちは食事や買い物を楽しんでいます。サステナビリティをテーマにしたマルシェでは親子がワークショップに夢中になり、音市場にはライブに盛り上がる人たちの姿もあり、街じゅうに笑顔が広がっていました。
▼参加者
「文化を含んでいたりする部分があるので、無機質なスタートアップというよりは もっとこう深みがあるところがあって、シリコンバレーみたいにちょっと一回さびれてそこから盛り上げていく若い人達の力が今からぶち上がっていくぜみたいなところが熱いです」
▼参加者
「ちょっと怖いイメージがあった、シャッター街が。イベントに参加してからこのディープさが面白いことに気づいた」
日が傾くにつれ、街はもっとにぎやかに。台湾の夜市を思わせる「パルミラ夜市」が始まると、通りには屋台の明かりに照らされた人たちがみられました。
▼松田栄治さん/パルミラ通り会副会長
「1回目は眉唾だなという感じだったが、今回は『参加したい』という声が増えた。みんなでフォローしてみようかという土壌・空気がある街であってほしいと思う」

フィナーレを飾ったのは、地元青年会によるエイサー。あふれる熱気とともに、商店街は人の波で埋め尽くされ、イベントは無事に終了しました。
▼親川雅也さん/一番街商店街組合 理事長
「来年どうなるんだろうと今から楽しみなのと、また大変なんだろうなと思うのと両方の気持ちがあります」
▼豊里竜次さん/ KOZAROCKS実行委員会
「周りの店舗などから協力をもらいながら 徐々に成長していけたらと思います」
イベントには2日間の開催で約5000人が参加し、盛り上がりをみせました。こうしたイベントをスタートアップ企業が主催することで、人や街との結びつきが強くなり、挑戦しやすい環境が生まれるのかもしれません。