「この場所から新しい事業を生み出す取り組みをやっているので、上をちょっと覗いてみましょうか」

古い住宅に見えますが、2階に上がるとおしゃれなオフィスが広がっています。

岡野バルブ XIBORDER事業部 佐藤鉄平事業部長
「(コザの街は)一言で言ったら、熱量が、熱いってことですかね。(沖縄のイメージと)全然違いますね。リゾート地ではないですね。ここは、本当にクリエイティブな商店街だと思います」。

コザの一番街商店街、かつては空き店舗が目立ち、静かなシャッター街となっていましたが、この3年間で輩出した企業家は247人。続々と新しい事業を生まれる「スタートアップ商店街」として、全国的に注目を集めています

このスタートアップ商店街の発起人の豊里健一郎さん。豊里さん自身、生まれも育ちも一番街で母親は子供服店を営み、幼少期の賑わっている商店街をよく覚えています。

コザスタートアップ商店街発起人 豊里健一郎さん
「賑わっていましたね。両親も商売人で、商店街で商売をやっていましたし街中のおじさんおばさんに育てられたというか、遊ぶ所も多かったので、遊び場でもあり、生活の場でもありっていう場所でしたね」

かつての活気を取り戻したいと、商店街の一角に起業支援の拠点を構えました。両親の勧めもあり、15歳で中国にわたった豊里さん。現地の大学を卒業し、香港で日経の物流企業に就職して7年間働きました。

そのノウハウも生かしながら、起業したい挑戦者の様々なサポートをしています。

設立2年目のこちらの企業。実践的な英語の授業や気軽に留学体験が出来るサービスを手掛けます。現在、県内外26の中学・高校と提携しています。

代表の野中さんは、ある社会課題を解決のため起業を決意したと話します。


まちなか留学ハローワールド 野中光代表
「沖縄に住んでいる外国人が孤立している状況と、子どもたちが留学に行きたくても行けてない2つの状況があったのでそれぞれ解決したいなと思ってそのサービスを始めました。みんな新しいことをしているので、その想像力を生かして、飲食店にしても面白いことをやっているので、新しいことが勝手に生まれてしまうような環境がここにある。新しいコザをみんなで作りあげている感じですかね」

豊里さんが街づくりで大切にしていることは、既存の商店街の良さも生かすことです。飲食店など、人が集まりやすい場を1階に、オフィスを2階に作ることを意識しています。


豊里さん
「商店街でやることってなにがあるんだろうって考えた時に、僕は商店街が生き残るには、外から人を呼び込むしかないと思っているんですよ」

昔ながらの商店街の良さも生かした新たなまちづくりは、働きがいや経済成長を促すSDGSの目標につながっています。

また起業家をサポートするなかで、家主との交渉はつきもの、時には先輩たちの力も借りながら、豊里さんは地域との連携を深めています。

豊里さん
「街の僕らの手に負えないことがあると、親川さんにお願いして」

商店街の老舗の店主は豊里さんら若手の挑戦をこう語ります。

沖縄市一番街商店街振興組合 親川剛理事長
「豊里さんは商店街の中でいま賑わいのエンジンかな、彼を中心にまわっているから。
一番のウーマクー(わんぱく坊主)だったから小さい頃から知っている。人を呼び込むのが上手だから、色んな人が来てくれてそれをとっかかりに商売が始まって、賑わいが成立しているから大変うれしく思っています」

そして7月にはこんなお店もオープン。ドイツ発祥の「スパゲッティアイスクリーム」です。
私も一風変わったアイスクリームを一口試食しました。

屋良キャスター
「すぐ溶けるから口にさっと広がって爽やかですね。めちゃくちゃ美味しい!!」

全国初となるこの店舗、起業したのは福島県出身の高木吏花(たかぎ りか)さんです。
「スパゲッティアイス」のすぐ溶けるというそのユニークさに惹かれ、個性豊かなコザの街で発信したいと考えました。


コザアイス 高木吏花オーナー
「スパゲッティアイスってすぐ溶けちゃうから合理的じゃないなって自分でも思うけど、なんかそれでも合理的じゃないからこそ人間らしさを表現できる。このコザの街も色んな人間らしさが溢れている場所だなって思うからこそ 私はこのスパゲッティアイスをコザからやりたかったなって思うし広めていけるよう頑張りたい」

豊里さん
「挑戦してくると見えてくる景色があるしこんなに大変だなって思うけど、早く失敗するために打席に立って起業しようということを出していたので、やっぱり起業家の方がこれだけ集まってきたのかなって思っています」
「新しいよそ者をずっと許容し続けながら変わってきた街なので、これからもどんどん新しいことには挑戦していけると思うので、また商店街の在り方を皆で考えていけるきっかけになれば良いなと思っています」。

『スタートアップ商店街』として急成長を遂げる、コザの一番街商店街。豊里さんら若手起業家のあくなき挑戦はこれからも続きます。