7月の記録的豪雨で甚大な被害を受けた大分県日田市にある「小鹿田焼の里」。生産を中断していた窯元が復興に向けて動き出しました。
国の重要無形文化財「小鹿田焼」の里として知られる日田市皿山地区。6代続く窯元の柳瀬裕之さん(50)です。この日、柳瀬さんは特別な思いで焼き物づくりに向き合っていました。
(窯元・柳瀬裕之さん)「できればもう起こってほしくないけど、こればっかりはどうしようもない」

7月の記録的豪雨に見舞われ、小鹿田焼の里では9軒全ての窯元が被災。柳瀬さんの窯元では土を砕くための「唐臼(からうす)」が流されるなど休業状態に追い込まれました。

あれから40日。地域の協力も受けて唐臼の復旧が進められ、柳瀬さんはようやく生産再開にこぎつけました。
(窯元・柳瀬裕之さん)「唐臼が一番の働きものだからまた頑張ってくれよという感じ」

また20日は柳瀬さんのもとに、県外から災害ボランティアが駆けつけました。焼き物の燃料となる薪の保管場所で土砂崩れが発生し、手つかずとなっていましたが、ボランティアの力によって薪の確保に希望が見え始めました。
(災害ボランティア)「伝統を大事にする地域、災害が起こってしまった現場で活動することができて、少しでも力になれたということでうれしく思う」
被災により、一時は廃業も頭をよぎったという柳瀬さん。不安な気持ちを抱えながらも、再建に向けて一歩ずつ前に進みます。
(窯元・柳瀬裕之さん)「手の感覚がまだ馴染んでいない。そのうち戻るでしょうけど。久々に唐臼の音を聞いたので、土がある限りは頑張っていきたい」
シンボルともいえる唐臼の音が戻ってきた小鹿田焼の里。300年の伝統を守り抜こうと、復興の歩みは始まったばかりです。
