(ざびえる本舗・太田清利社長)「物を売ることしか知らない、一介のサラリーマンが経営のことはわからない、数字もわからない、人脈も無いの、ないないづくしでした。ただ、責任感というのがあったんでしょうねえ、人がやれるんだったら自分も一生懸命やればできるんじゃないかと開き直りみたいものがどこかにあり、経営のことなんかも地道にすごく勉強しました」

味の違いにとまどい… 念願の「トンネル窯」を手に入れる
――ざびえる復活に向けて一番苦労したのは?
(太田清利社長)「それはレシピは全く同じなのに、出来上がったものはオリジナルと比較して味や食感が違うことでした。焼く窯が違うとこんなにも違いが出るのかと実感しました。味わいが寸分違わないざびえるを完全に復活させたいと思っていましたから」
会社設立から3年後の2004年の夏、高速道路のインターチェンジに近い大分市郊外の流通団地に新工場を設立し移転、3年前に購入したラック窯も持っていきました。焼き時間の調整などを繰り返していくと、徐々に人気が復活し、リピーターも増えていきますが、太田社長はまだ100%納得せず、それこそ試行錯誤の連続でした。

それから7年後、2011年の夏、工場を改築・増築したことをきっかけに、製造ラインにトンネル窯を導入しました。ガスで火を加えた後、さらに電気でも焼くことができる窯は、成型された「ざびえる」が長いトンネルを移動する間に予熱から徐々に温度が上がるように焼かれるもので、深い味わいや独特の食感を生むということです。

太田社長は進化したこの窯を手に入れたことで、試行錯誤から放たれると確信しました。