大分県別府市で去年6月、大学生2人が死傷したひき逃げ事件で警察は26日、海岸の近くに脱ぎ捨てられていた八田與一容疑者のものとみられるTシャツなどを公開しました。

この事件は去年6月29日の午後7時45分頃おきたもので、別府市野口原の県道で大分県日出町の会社員、八田與一容疑者(26)が運転する軽乗用車が信号で停止していたバイク2台に追突。原付バイクの男子大学生が死亡、もう一人の大学生がけがをしました。

八田容疑者はそのまま逃走し、警察はひき逃げの疑いで公開捜査を開始。26日は知人が撮影した八田容疑者の動画や、防犯カメラの映像を新たに公開しました。防犯カメラの映像では午後4時すぎ、八田容疑者が市内の店舗でコップを購入する姿を捉えています。さらに事件直前の午後7時41分ごろの映像では、店の近くのマンション付近で靴を履いて歩いている八田容疑者の姿が確認できます。また、事件後、逃走経路沿線の映像などが公開されています。

警察によりますと事件から2日後、現場からおよそ2キロ離れた別府市北浜のヨットハーバーで丸められていた黒いTシャツが見つかり、DNA鑑定で八田容疑者のものと断定しました。このシャツは事故当時、着ていたものとみられています。

また、軽乗用車の中からは八田容疑者が履いていたとみられるスリッパやスニーカー、リュックサックも発見され、26日、事故車両とともに公開されました。

警察には事件発生からこれまで、延べ2万人の警察官を捜査にあてています。また433件の情報が寄せられていますが、八田與一容疑者につながる有力な情報は得られていません。警察は改めて情報提供を呼びかけています。

死亡した大学生の遺族は26日の公開を受けてコメントを寄せています。

【遺族のコメント】
「車両、遺留品、防犯カメラ映像公開で思うこと。なぜ、今なんですか。なぜ、今までこんな大事な映像、車両や遺留品を公開しなかったのですか。容疑者が乗り捨てた車両と息子ら2台のバイクを警察署で確認しました。この事件の残酷さを目の当たりにし、改めて怒りが込み上げ、手が震えました。軽自動車の前方部分はぺしゃんこにつぶれ、特に助手席側の破損の酷さは衝撃の大きさを物語っていました。一方、運転席側のフロントガラスは全く割れていません。自分だけ助かろうと慌ててハンドルをきったことが分かります。横に目をやると息子のバイク。座席後ろ部分とハンドル部分がくっつきそうなくらいに折れ曲がっていました。そして今回公開の防犯カメラ映像。裸足でぴょんぴょんと飛び跳ねるよう走ったり歩いたり…あんなにも平然と、まるで何もなかったかのように。ほんの数分前にノーブレーキでバイクに追突し、壁に激突したとは思えない足取りです。そんな姿を見せられて、許せるはずがありません。容疑者は既に死んでいるのではないか。そういう声が時々聞こえてきます。そんなはずはありません。こんな残忍で卑怯な人間が、自らの罪を認め命を断つはずがありません。想像してみてください。これが自分の子どもを死なせた容疑者の姿だとしたら、皆さん、普通でいられますか」

ーひき逃げ事件発生からこれまでの経緯ー
・2022年6月29日午後7時45分頃事故発生 大学生2人死傷 八田與一容疑者逃走
・7月4日 八田與一容疑者「ひき逃げ」容疑で公開手配
・7月6日 別府市内の主要交通機関に八田與一容疑者の顔写真入り手配書掲示
・7月22日 八田與一容疑者の新たな顔写真公開
・10月25日 「検挙に向けて全力を尽くす」着任会見で県警 種田英明本部長
・11月19日 遺族らが最大500万円の私的懸賞金を出すことを決定
・11月29日 大学生の情報提供を呼びかるホームぺージ立ち上げ
・2023年5月22日 秋山博康さん(リーゼント刑事)も情報提供呼びかけ

【情報提供先】 別府警察署 0977-21-2131