農業用ため池は多くの中山間地で役立てられています。一方、5年前、福岡では豪雨により決壊し、死者が出るなど大きな被害が出ました。防災の観点から「ため池」の異変を知らせる防犯カメラや水位計を設置した実証実験も進められています。

大分県日出町藤原にある「富水ため池」。貯められる水の量は21万4000トンで、25メートルプールおよそ400杯分にもなります。現在は下流にある16ヘクタールの水田に水を供給し、地域のコメ作りを支えています。

(富水ため池土地改良区・目代玉喜理事長)
「水稲栽培の農家が多く、この辺は大きな川もないのでこの池を頼っています」

2017年の九州北部豪雨。福岡県朝倉市では、ため池が9か所決壊し、3人が犠牲になるなど甚大な被害を受けました。このため、国や都道府県は2018年から農業用ため池の実態把握と防災対策の強化に乗り出しています。

県は2021年から管理者に対して総点検を呼びかけ、2022年は県内にある1041か所で漏水や亀裂の有無など15項目にわたる調査を行っています。

異常があった場合は市町村や管理者と改修に向けた協議を進め、最終的に県が必要な復旧・整備を行いますが、この富水ため池が決壊した際に浸水が想定される住宅や事業所は11棟あるということです。

県の調査


(富水ため池土地改良区・阿部隆広さん)
「ありがたいです。私たち素人ばかりが毎日、池を見に来るよりも県の技術者が大丈夫ですよっと言ったら私たちも大丈夫と思います」

一方でため池は地元の農家が管理しているケースが多く、高齢化による後継者不足が大きな課題となっています。

(富水ため池土地改良区・目代玉喜理事長)
「これからの次世代に向けて少子化ですので、後継者不足が大きな悩みです」

こうした中、ため池の異変をいち早く察知し、管理者の負担を減らそうと県は2021年から県内3か所に監視カメラと小型水位計を設置する実証実験を始めました。

監視カメラ


このうちの1つ、杵築市南杵築の「白水ため池」を40年以上に渡って管理する加藤隆義さんは近年集中豪雨が相次ぐ中、この監視システムに期待を寄せています。

(杵築市土地改良区・加藤隆義理事)
「大雨の時、家にいながら情報がわかるため、池に行ったほうがいいのか悪いのか判断が早めにできる」

県は2022年度、新たに40か所のため池に監視システムを設置し、2023年3月からの本格運用を目指しています。

(県農村基盤整備課・安藤正浩課長)
「ため池が決壊すると下流の人家に甚大な被害が発生するおそれがあるので、下流の被害防止と農業用水の安定供給のため、しっかり取り組んでいきたい」

梅雨や台風シーズンを前に懸念される豪雨災害。総点検による確認や監視システムを活用した、ため池の十分な安全対策が求められています。