大分県内の農家は担い手不足など、多くの課題を抱えています。こうした中、最新技術を使って省力化を目指そうという取り組みが始まっています。

大分県竹田市菅生地区で特産のトウモロコシやキャベツなどを栽培する「卯野農場」。山村俊貴さん(24)は大分県立農業大学校を卒業し、期待の後継者として5年前に就農しました。

(卯野農場・山村俊貴さん)
「難しいことが多くて、まだ就農5年目だが、毎年勉強しながら農業している」

山村俊貴さん


農場を営む祖父の背中を見てノウハウを学ぶ日々。山村さんは経験不足を少しでも穴埋めしようと、新たな取り組みに乗り出そうとしています。それが…

(山村俊貴さん)
「衛星のデータを基に野菜の生育状況を可視化する取り組みです」

山村さんが導入を試みているのは人工衛星データの活用。これで農作物の生育状況がひと目で分かるといいます。卯野農場の畑は250か所に点在。あわせて70ヘクタールもの面積を誇りますが、15人の従業員で野菜の生育状況を日々、確認していくのは大変な労力でした。

(山村俊貴さん)
「現場にかかってくる負担を減らせる効果もあると思うし、また、作業適期を逃さずにより良いものを出荷できる部分でも今後役に立ってくるのかな」

この日、農場を訪れたのは東京のIT企業「Agriee」の鈴木千夏さん。山村さんに開発中のシステムをレクチャーしています。

(Agriee 鈴木千夏代表)
「畑の地理情報を入力してもらって、それに基づいて衛星からデータを取ってきて指標を計算する。ベースとなる作業をしてもらっている」

鈴木さんの会社はヨーロッパの人工衛星が5日ごとに撮影している画像を活用。10メートル四方で野菜の色の濃淡を識別し、生育状況や病気の兆候をグラフ化して教えてくれる仕組みです。 

山村さんにレクチャーする鈴木さん
野菜の色の濃淡を識別し生育状況や病気の兆候をグラフ化

             
(鈴木千夏代表)
「オレンジ色が平年だったらどう生育が進んでいくのかを示したグラフ、緑が現状の平均値で、安定した収量や品質をある程度担保することが可能になってくる」


鈴木さんは竹田市やJAなどとも連携して実証実験を重ね、2023年までに実用化につなげたい考えです。

(山村俊貴さん)
「露地栽培はいざ始めようとなったらとてもハードルが高いので、その時にこういうのがあると新規就農者は心強い」

現在、農場の代表を務め、山村さんの師匠でもある祖父の卯野英治さん。新たな技術の導入を決めた孫の決断に理解を示し、後押しします。

(卯野農場代表 卯野英治さん)
「自分は好まない、昔の人間だから。だけど、今からの時代は必要になってくると思う。自分たちが覚えた野菜作りの古い手法も頭の片隅には残っていると思うので、それをプラスにして農業を守っていってもらいたい」

(卯野農場 山村俊貴さん)
「経験という部分ではどうしても勝てないが、その辺を今回のITなどでなるべく補完して、菅生地区の農業を若い後継者たちと手を取り合って守っていければと思いまます」

衛星データの活用で省力化へ。宇宙技術は人手不足の問題を解消し、これからの新しい農業を生み出す可能性を秘めています。