伝統の漁具が消失…職人との不思議な縁

永倉さんが特に大切にしている道具は「仕掛け」です。田中地区で漁具を作ってきた「八潮工業」が全焼し、佐賀関の漁に適した漁具の数自体が少なくなっているといいます。

永倉さん:
「似たような商品はあるんですけど、ちょっと違うんですよね。『八潮さんの木崎のおっちゃんのやつがいいな』って思うぐらいだから、ベテランの漁師さんはもっとそう思うはずです」

永倉さんは、かつて兵庫の釣り針製造会社で働いていた際、取引先の担当だったのが八潮工業の3代目・木崎章二(78)さんでした。このため、木崎さんに対して不思議な縁を感じているそうです。

その八潮工業は50年以上前に創業しましたが、半年前の火災で全焼し、今年3月末で廃業しました。しかし、多くの漁師から復活を求める声があがり、県漁協佐賀関支店と木崎さんが協力し、漁具作りの再開に向けて準備を進めています。

木崎さん:
「また作れる期待の方が大きいですね。今から準備のスピードを上げていかなければいけないという感じです」

木崎さんが焼け跡から見つけ出した約15個の「仕掛けの型」は現在、漁協に保管されています。漁協の倉庫を漁具の作業場に改修する工事は6月末までに完了する見込みで、早ければ今年7月から製造が始まります。

木崎さん:
「楽しいやら、ちょっと心配やら。うまいこといけばいいなという感じですね」

永倉さん:
「今後のことは何も決めてないんですけど、田中地区に戻ることだけは決めています。息子のふるさとだし、僕もずっと田中地区に住んでいて、移住者の僕を受け入れてくれた人たちとその地区があるので。田中地区以外の選択肢がないとおもっています」

兵庫から佐賀関に移住して12年。漁師の永倉さんが佐賀関を思う気持ちは今も変わりません。