大分県北部にある姫島村。瀬戸内海西端に位置する離島で人口は約1800人(高齢化率56.2%)。基幹産業は水産業で、なかでも車エビの養殖が盛んに行われている。

キツネに扮した子どもたちが可愛らしい舞を披露する伝統の「姫島盆踊り」は、毎年、村の人口を超える観光客が訪れ、にぎわいをみせる。(新型コロナ感染拡大で2022年の開催は中止)また、1000キロ以上を旅するチョウ「アサギマダラ」の国内有数の休息地としても知られている。

姫島盆踊り

アサギマダラ休息地


のんびりと田舎暮らしを楽しみたい人におすすめの島だが、いまある変化が起きている。それは村が2018年に打ち出した「ITアイランド構想」。IT企業の本社進出などにより村が様変わりしている。

■年商5億4000万円 村の産業額が2倍に

姫島村の中心部にあるIT企業「Ruby開発」。Webサービスやソフトフェアの開発などを手がけている。2018年に姫島オフィスを構え、4年後の今年2月、東京にあった本社を姫島村に移転した。「東京、仙台、福岡など各オフィスに誰がいるのかオンラインですぐにわかるようにしている。どちらかというと姫島に一番人が集まっているんですよ」(Ruby開発・天辰幸洋姫島本社長)

Ruby開発 姫島本社


Ruby開発はこの4年間で姫島オフィスの社員を1人から7人に増やしていて、今後さらに5人増員する予定。年間の売上高は5億4000万円で、島の主要産業である車エビの養殖に匹敵する金額に達した。

「おそらく島の産業の売り上げ高が倍になっていると思う。そこがまず最初の貢献だった。島最大の企業という思いで事業をもっと拡大していきたい」(Ruby開発・芦田秀之社長)

また、福利厚生も充実させている。オフィスの近くにある住宅を購入し、県外勤務の社員が宿泊できる施設を整備。社員同士が気軽に交流を深める拠点としても利用している。社員からの評判も上々だ。「土曜日に天気が良かったから庭でバーベキューをしていたら通りすがりのおばちゃんから食べるかと言ってタマネギをくれた」「姫島の暮らしが好きで、家族と一緒に過ごせる時間が増えた」。なかにはUターン就職した村出身の社員もいる。