両親と弟たちとの別れ

厳しい逃避行の中で、両親は体力を失っていきました。

「お母さんが倒れて、もう歩けなくなって寝たままになって。それからも毎日毎日歩いていたんよ。だけど歩かんでお父さんが座ったんよ。お父さんも疲れたなちゅう思いよったら、そのままベタっと寝たの。だから『兵隊さん、誰か来て』って言ったら、兵隊さんが来てくれた。助けてくれたけど、もう父はそのまま亡くなった」

「倒れた人はそのまま…兵隊さんもそのまま。だけど草をかけて、木の枝を折って立て、被せてやった」

残されたのは日高さんと幼い弟2人。3人で密林を逃げる中、下の弟が崖から転落。そして上の弟は、増水した川に流され亡くなります。