激しい痛みの意外な原因
その激しい痛みの原因は、意外にも「アレルギー」にありました。
小林教授:
「突き刺さることだけで、物理的な痛みは実はそんなにないはずです。気がつかないうちに繰り返し刺され、激しい反応を起こすようになるんです」
「お腹が痛くてアニサキスが見つかった人を調べると、ある程度の確率で過去にも生魚を食べたあと、腹痛を経験していました。免疫反応が起きたことを裏付ける間接的な証拠といえます」

アニサキスによる食中毒は、ここ10年増加傾向にあり、全国では去年330件が報告されています。原因別ではノロウイルスなどを上回り最多となっています。
小林教授:
「一番の要因は、流通技術の進歩です。昔は魚を運ぶときにガチガチに凍らせていましたが、近年は低温冷凍で流通できる技術が発達し、アニサキスが死なずに口に届くケースが増えています。また、食品衛生法で医療機関から保健所への届け出が必要になったのが2013年。報告件数が増加しているのは、医療従事者の意識が高まったためとみています」
「さらにインバウンドの増加に伴い、魚を生で食べる需要も増えています。世界で報告されるアニサキス食中毒のうち、日本がほとんどを占めていますが、有名な回転寿司チェーンは流通技術の発達により、東南アジアや欧米にも進出しています。需要が高まるほど、国内外のアニサキス食中毒の報告が増える可能性もあります」
一方、大分県内ではこの2年間報告されていません。一体なぜなのか?