参議院選挙が3日に公示され、17日間にわたる選挙戦がスタートしました。大分選挙区では5人が立候補し、各陣営が総力を挙げて支持拡大に奔走しています。選挙戦の構図や勝敗の行方について、OBS県政キャップの糸永敦記者が詳しく解説します。

参院選は衆院選と違い、本来政権を直接選ぶ選挙ではありません。ただ、2024年の衆院選で自民党が「少数与党」となったことで、今回は政治の大きな節目となる事実上の「政権選択選挙」になりそうです。

大分選挙区は、現職と元職、新人3人のあわせて5人が立候補。2023年の参院補選で激戦を繰り広げた自民党の白坂亜紀さんと、立憲民主党の吉田忠智さんが再び顔を合わせました。

補選では、白坂さんが吉田さんを341票の僅差でかわし、初当選を果たしました。今回もこの2人を軸にした選挙戦になる見通しです。

白坂さんは、これまで党所属の国会議員や地方議員らと大分県内各地をまわり、組織固めを図ってきました。推薦を受けている公明党とも両輪で選挙戦を展開します。

出陣式・大分市(3日)

3日の出陣式には、いわゆるトランプ関税の交渉にあたっている赤沢経済再生担当大臣が駆けつけました。陣営としては現在の状況を「横一線」とみていて、今後も小泉農水大臣をはじめ、知名度の高い閣僚経験者らが応援に入れることで、勢いをつけたい考えです。

一方、吉田さんは、今回も連合大分を軸に社民・国民のほか、共産党も支持に回り、野党共闘の枠組みが実現しました。

前回は、立憲や吉田さんの出身母体の自治労が中心となりましたが、連合大分では幅広い支援につながらなかったと分析しています。それを踏まえて陣営では今回、衆院大分1区選出の吉良州司議員や、国民民主党の支援者にも公選はがきを送り、支持拡大を図ります。

さらに、複数の野党系の比例代表候補とも連携を強化するなど、野党の力を結集して議席の奪還を目指しています。

大分市商店街・3日

立憲の野田代表が3日、大分市を訪れました。党首が選挙戦の初日に応援に駆けつけたことからも、党がいかに重要な選挙区と考えているかがうかがえます。

大分選挙区には、東京都議選でも躍進した参政党から野中さんが出馬しています。野中さんは街頭演説やSNSでの発信を重ねて、比例票の積み増しを狙います。11日には神谷代表も来県する予定です。

出陣式・大分市(3日)

参政党は岩盤保守層の受け皿にもなっている面があり、自民党県連の幹部は「保守票が流れてしまうのでは」と警戒を強めています。

一方で、吉田さんも票を積み上げるためには保守層に食い込む必要があります。こうしたことから野中さんの存在は、選挙戦の構図に少なからず影響があるといえます。

NHK党の二宮さんはSNSを中心に党の看板を前面に出して支持を訴え、また日本誠真会の安倍さんは保守層への浸透を図ります。

投票率の動向については、過去の参院選の推移をみると、大分県内では1980年をピークに投票率は低下傾向になっています。

今回の投票日は3連休の中日で、「投票率が低下するのでは」という声もあります。県選挙管理委員会は期日前投票の積極的な活用を呼びかけています。

これからの国の行方を左右する大切な選挙なので、ぜひ投票してもらいたいと思います。