「全国旅行支援」の開始から1週間、大分県内の観光は、旅行代理店からは制度に対する不安の声も上がっていますが、回復への追い風効果があらわれ始めています。

県内の観光地には18日、平日にも関わらず大勢の旅行客が訪れ、かつてのにぎわいを取り戻しつつあります。

由布市湯布院町 湯の坪街道

(湯布院町を訪れた観光客)「生まれて初めてフグを食べました。クーポン券がなければ高いので考えましたが、とてもお得な気分」「クーポンで思い出もつくれたし、お財布のひもがゆるくなっちゃう」

10月11日からスタートした「全国旅行支援」。割引率は40パーセントで上限額は宿泊で5000円、電車や飛行機など交通機関とのパックは8000円です。また土産物店や飲食店などで利用できるクーポン券が休日は1000円、平日は3000円分発行され、1泊最大1万1000円が補助されます。


別府市の観光名所の一つ「海地獄」は「全国旅行支援」開始後の来場者はコロナ禍前の2019年と比べ、7割程度までに回復しました。徐々に団体客も訪れるようになり、2022年の秋のシーズンは2021年の1.5倍以上の集客を見込んでいます。

(海地獄 施設運営部・矢野義広部長)「支援策があるとお客様も動きやすいし、安く旅行が出来ているので、別府に来ていただければ我々としても大変うれしい」


一方、別府市のホテル白菊も「全国旅行支援」が追い風となり、客足が戻り始めました。10月と11月は2021年の同時期と比べおよそ3倍に増えて、コロナ禍前の水準まで回復したといいます。

(ホテル白菊・安部洋二郎支配人)「制限のあった団体のお客様も少しずつ増えてきた実感があります。我々も仕事が出来る喜びに期待しています」

また、別府市旅館ホテル組合連合会の西田陽一会長は「全国旅行支援」をきっかけに県内の観光業の復活に期待を寄せています。

(別府市旅館ホテル組合連合会・西田陽一会長)「2年半以上コロナ禍で観光産業が厳しい時を過ごしてきたので、地域の皆さんと一緒になって元気に盛り上がって復活ののろしをあげるいい機会になる」


今回の「全国旅行支援」はおよそ5600億円の国の予算をもとに都道府県から旅行会社やホテルなどに補助金を配分。申し込みは対象の旅行会社や宿泊施設などに直接予約する仕組みとなっています。


大分市の旅行会社オーシートラベル。旅行者にとってはうれしい制度ですが、自治体ごとに手続きの方法が異なるため連日、スタッフが対応に追われています。こうした中、当初用意していた予約の枠がすでに埋まったとして京都と岩手を旅行する商品についていったん予約の受け付けを停止しています。


(オーシートラベル・齋藤充吉専務)「各県によって提出する書類などが違いますので時間がかかっています。いつまでも支援予算だけに頼っているわけにもいかないので、早めにコロナ禍前の状態に戻るのを願っている」


12月下旬まで続く「全国旅行支援」は、制度や運用に課題を残すものの、外国人観光客の入国制限緩和と合わせて、コロナ禍で落ち込んだ観光業復活の起爆剤として実際に効果があらわれ始めています。