特別警報も発表された去年7月の豪雨で、大分県日田市にある小鹿田焼の産地は甚大な被害を受けました。廃業の危機に立たされながらも器づくりと向き合う窯元のこの1年を追いました。

小鹿田焼9軒すべての窯元被災

日田市皿山地区で300年の歴史を持つ小鹿田焼の窯元、柳瀬裕之さん(51)。6代目当主として日々、伝統を守り続けています。

柳瀬裕之さん

柳瀬さん:
「毎年毎年雨と考えると、今でも気分的に不安なところもある」

去年7月、大分と福岡は記録的豪雨に見舞われ、小鹿田焼をつくる9軒すべての窯元が被災しました。

去年7月

このうち、柳瀬さんは焼き物づくりに欠かせない土を砕くための唐臼を流失。さらに土砂崩れによって燃料となる薪も流され、最も大きな被害を受けました。

柳瀬さん
「薪小屋の被害を見たときはこのまま焼き物が続けられるのか、その時はちょっと絶望的だった」

当時の状況を絶望的と振り返る柳瀬さん。そこから立ち上がるきっかけとなったのは、地元の仲間やボランティアたちの支えでした。

流失した唐臼は、同じ集落の大工が急ピッチで復旧にあたり、柳瀬さんのもとへ届けられました。また、土砂崩れが起きた薪小屋には災害ボランティアが駆けつけ、薪の確保もできるように。こうして周りの助けを得ながら柳瀬さんは一歩ずつ、日常を取り戻してきました。

柳瀬さん:
「薪の確保も全部できるようになったので、うちが焼ければ復興とまではいかないですけど、一区切りできる」