長崎市の若宮稲荷神社で今月14日、15日の2日間、白狐が竹の上で技を披露する「竹ン芸」が行われました。
今回の奉納を、特別な思いでむかえた人がいます。大塚聰さん、76歳。
今年で引退を決めた竹づくりの匠です。

高さ10メートルを超える竹の上で、男狐と女狐が数々の技を繰り広げます。
200年以上の歴史がある、若宮稲荷神社の竹ン芸です。

この日、竹のすぐそばで演技を見守っていたのが大塚聰さん(76)です。
大塚さんは大工として働きながら50年以上、毎年竹ン芸の竹をつくってきましたが、体力の衰えを理由に、ことし限りでの引退を決めました。

大塚聰さん:「ここが甘かったら(枷が)抜けるでしょ」
「抜けたら大ごとですもんね」
大塚聰さん:「大ごとですよ。(竹に上るのを)見る時には怖いんですよ、(本番が)終わるまで怖いんです」
狐たちが命を預ける竹まっすぐで、よくしなりながらも決して事故がないように仕上げなければなりません。

大塚さん、今年も納得の竹ができ上がったようです。
大塚聰さん:「あんま無理をせんごとね」
狐役:「はい、ありがとうございます」

本番ー。大塚さんが手がけた最後の竹の晴れ舞台でもあります。
かわいい子狐や男狐・女狐が技を披露する度に歓声があがる中、大塚さんは祈る思いで見つめていました。
「横一文字と横大文字」「扇でございます」
そして、手に汗握るクライマックス!”天の逆鉾”

大塚聰さん:「ほっとしましたね。ほんと嬉しいですね、はい」
一年一年、竹と向き合い半世紀以上。
竹ン芸の歴史を支えてきた匠の技と思いはこれからも受け継がれます。