福島第一原発処理水の海洋放出で日本からの水産物の輸入を全面禁止した中国。
長崎県内の水産関係者は、中国政府へ冷静な対応と早期の輸入再開を求めています。

24日から開始された福島第一原発処理水の海洋放出。
これから30年にわたって処理水は海に流され続けることになります。

これに反発した中国政府は即座に日本からの水産物の輸入を全面禁止すると発表しました。

長崎県水産加工流通課 門村 和志 総括課長補佐:
「(水産物輸出は)順調に復活というか、伸びてきて、処理水の関係でそれがいったんストップと、長崎にとって中国は海外に輸出する水産物の3割強を占める相手です」

長崎産の水産物は、2005年頃から中国へ輸出され始め、『長崎鮮魚』のブランドなどで高い評価を受けていました。
コロナ禍で一時は落ち込みましたが、2022年は過去最高となるおよそ21億円の輸出額となりました。

長崎県の担当者は中国側の冷静な対応を求めています。

長崎県水産加工流通課 門村 和志 総括課長補佐:
「海は特に、長崎は中国と面しているというか、同じ海域を共同で利用しているところでありますので、そこで取れる魚についても全く安全性に問題がないと、そういったことを確実に伝えて理解をしていただく」

一方、県内の漁業者は不安を感じながらも、時間の経過と共に中国の反発が収まってくれればとしています。

橘湾東部漁協 井上 幸宣 組合長:
「(規制値を)オーバーしてないということが続けば、自然とうわさも静かになって、もとに戻るのじゃないかなと。ちょっと時間がかかると思うけども、元に戻るようになってほしいというのが本音ですね」

岸田総理は…

岸田総理:
「外交ルートで先ほど、中国側に対して(輸入禁止の)即時撤廃を求める申し入れを行いました。
(処理水の)海洋放出の影響について、科学的根拠に基づいて専門家同士がしっかりと議論を行っていくよう、中国政府に強く働きかけてまいります」

水産県・長崎の大きな販路を失うこととなった原発処理水の海洋放出。
県では、国を通じて中国政府に輸入再開を求めると共に、中国に代わる販路も模索していきたいとしています。

なお、東京電力は、放出後に採取した原発周辺の海水の放射性物質濃度は『検出限界値未満』だったと25日夕方発表しました。