5日、列島を横断した台風15号。全国各地で冠水が相次ぐなど街の姿が一変しました。特に静岡県では突風被害が相次ぎ、住宅被害は200棟を超えています。

静岡県牧之原市です。5日、夜7時半ごろからこちらで取材をしていますが、町のあちこちに被害の爪痕が残っています。私の後ろでは夜通し電柱の復旧作業が行われています。

昼間の突風の影響で道端の電柱は根元から折れ、道路をふさぐ形で完全に倒れてしまっているほか、壁の一部が崩れて中が見えてしまっている住宅も多く見受けられました。

牧之原市では午後8時時点で建物1棟が全壊、42棟が半壊するなど、住宅被害が228棟にのぼっているということです。

また、停電も起きていて、懐中電灯がないと出歩くのも困難です。

大雨が降った影響で湿気があって、かなり蒸し暑いんですが、停電のためエアコンも扇風機も使えず、住民の方々は精神的にも体力的にもつらい夜を過ごしています。

記者
「午後1時すぎの静岡市駿河区です。今、大きな雷が鳴っています。空がビカビカ光っていて、かなり不安定な状態です」

台風15号の接近に伴い、猛烈な雨と非常に激しい風に見舞われた静岡県では、3回にわたって線状降水帯が発生。

静岡空港の駐車場では、車体が半分以上、水に浸かるほどの冠水となりました。

記者
「浜松市中央区です。80代の男性が水路に転落したのではないかという通報があり、警察と消防が捜索活動を続けています」

1時間の降水量は、菊川市で127ミリ、牧之原市で113ミリとなるなど、4つの地点で観測史上最大となりました。

記者
「停電で信号が付いていない影響で、道路が渋滞し、車が長蛇の列となっています」

牧之原市と隣接する吉田町では、突風による被害が発生しました。

記者
「こちらの駐車場のフェンスはひどくゆがんだ状態になっています。また、あちらを見てください。風で飛ばされてきたのでしょうか、草むらで車が横転しています」

午後1時前に発生したとみられる突風。道路をふさぐようにトレーラーが横転し、近くにある建物は壁が剥がれ、中がむき出しになっています。

記者
「こちら車が横倒しになっています、車が3台、横倒しになってしまっています」

この突風により、至るところで車が横転。ドラッグストアの店舗前は、物が散乱していました。

また、電柱が何本も根元から折れ、道路を完全にふさいでいます。

こちらの男性は、落ちてきたがれきで手に打撲と切り傷を負ったといいます。

突風の被害にあった人
「(Q.突風でけがを)そう。(Q.どんな状態)屋根がない、家が。避難するのに必死。息子と一緒に便所に隠れた」

住民を苦しめているのが今も続く停電です。

被害にあった男性(73)
「すごいよね、屋根もないし部屋もめちゃくちゃ」

突風の影響で停電が続く中、懐中電灯などで夜を過ごす男性。Tシャツは汗でびしょびしょです。

被害にあった男性(73)
「扇風機も1年中、回しているけど止めたことない。でも、きょう全部止まった。30℃近くで湿度は80%近い」

当時は、この場所に座っていたといいます。

被害にあった男性(73)
「すごいなーと思って外を見てて、ここ(窓)を閉めて向こうも閉めて、そしたらどどどどーんってきた。ここでガラスがバーンと。カーテン閉まっていたから助かった。怖かったもん。慌てて立って、そこに逃げた」

ベトナム人の男性も被害にあいました。数人で暮らすアパートの前は、室外機が倒れ、家具なども家の外に。がれきだらけになっていました。

被害にあったベトナム人
「飛んできた、全部壊れた」

2階の部屋は窓ガラスが吹き飛び、寝られる状態ではありません。さらに、近くには…

被害にあったベトナム人
「友達。(Q.友達の家)そう」

友人の家は、壁ごと剥がれ落ちてしまっていました。

生活もままならないほどの被害に、外で途方に暮れるベトナム人たち。その後ろには飛ばされた布団が…。

牧之原市によると、5日午後8時時点で建物の全壊が1棟、半壊が42棟など、住宅被害が228棟にのぼっているということです。

また、現場近くにある病院によると、骨折や切り傷などを負った30人ほどを治療したといいます。

伊東市でも道路脇の街路樹が横倒しになり、ユニクロの建物は自動ドアの部分が吹き飛んでしまっているように見えます。

突風の被害とみられ、屋根が吹き飛び、それにぶつかった店舗の従業員がけがをしたもようです。

突風被害は茨城県でも…。

午後1時半すぎに日立市のJR大甕駅で「駐車場の車が強風で横転している」と119番通報がありました。

車が飛ばされる瞬間を捉えた映像。1台がひっくり返り…さらに、もう1台も。

あわせて2台が横転しましたが、けが人はいないということです。

飛ばされた車の所有者の夫
「女房の車なんですよ、女房が朝一番で京都に行った。こんなのが飛ばされちゃう風だったんだから、竜巻かなんかみたいだよ」

列島を横断し全国の広い範囲に爪痕を残した台風15号。

愛知県では街の姿が一変しました。岡崎市では動かなくなった車を近くにいた人たちが押して移動させ、隣の安城市では冠水した道を車がゆっくりと走っていました。

市内を流れる川からは水があふれ、道路との境目が分からなくなっています。向かいの住宅前では迫りくる水を押し返そうと、必死にかきだす人の姿がありました。さらに…

記者
「岡崎市上空です。田んぼの中に車が浸かっているのが確認できます」

田んぼにぽつんと取り残された1台の車、タイヤが見えない深さまで水に浸かりました。

神奈川県の東部でも午後3時半ごろに線状降水帯が発生するなど関東各地も大雨の一日に。

「やばい、やばい、やばい」

観光地・鶴岡八幡宮周辺も冠水していました。

大雨となった地域は少ない雨の量でも土砂災害などの危険度が高まりやすく、引き続き、警戒が必要です。