【住吉 光アナウンサー以下:住】
長崎の暮らし経済ウイークリーオピニオン 平家 達史NBC論説委員(以下【平】)とお伝えします。

【平】今回は“Pint!”で毎月放送している『長崎NEXTスタイル』とのコラボ企画で、7月27日に開催された『長崎サミット』についてお伝えします。

『長崎サミット』とは、長崎の産学官のトップが集う会議です。
メンバーは、経済4団体の代表と知事、長崎市長、長崎大学学長で構成されています。

活動分野は
・「行きたくなる、住みたくなるまちづくり」
・「地域の産業を担う人材育成・確保」
・「長崎を知っていただくブランディング」
・「長崎をさらに発展させる産業振興」の4項目です。

今回の長崎サミットでは──
・「地域の産業を担う人材育成・確保」
・「長崎をさらに発展させる産業振興」
──に着目してテーマが設けられました。

【住】平家さん、改めて今回の『長崎サミット』のテーマは何でしょう?

これからの長崎を担う産業と人“財”について

【平】人手不足が深刻化する中、その課題と人材を確保をするためのヒントが、サミットでの発言の中にありました。

長崎商工会議所 森 拓二郎会頭:
「人手不足ということは、“全国的”かつ“業種横断的”な課題となっております。
人材確保は“地域間競争”に巻き込まれる可能性もあります」

長崎県経営者協会 外野 雅彦会長:
「夢とか目標を働き手と共有をするということで、経営者が“自分の夢”とか“自分の言葉”でしっかり伝えていくことが重要だと考えます」

【平】全国的に人材を求めている企業がたくさんありますから“地域間競争”つまり各地域が人を取り合う形になることが懸念されています。
一方で、経営者が従業員と対面して、言葉でコミュニケーションを取ることにより、離職者を防ぐ、すなわち長崎県外への人材の流出を防ぐことになるのではないかとの意見がありました。

従業員が知人・友人を紹介する“リファラル採用”

【平】また採用活動についても、興味深い提案がありました。

長崎県経営者協会 外野 雅彦会長:
「人材確保につきましては“リファラル採用”という方法がございます。
これは自社に勤める従業員が“知人・友人”を『この“知人・友人”は、この会社に合いそうだな』というところで紹介をして、採用試験とか面接をして採用するという方法でございます。
地元愛の強い長崎ならではのやり方ではないかと考えております」

【平】“リファラル採用”は、アメリカでは既に一般的な採用方法になっており、日本でも注目が高まっている採用方法です。
企業の内容をよく知る社員が、自社に合うと思われる人材を紹介するため、職場への順応率は高いと言われているほか、潜在的な転職希望者を掘り起こせるといったことなどがメリットとして指摘されています。

ただ、長崎の中での人材の移動では、単なる人材の取り合いになってしまいますので、如何に県外から人材を呼び寄せるかが大切だと思います。
長崎の人々は地元愛が強いですから、県外の長崎出身者に対する“リファラル採用”を行い、企業がその人材を育成し、結果を出すことで、さらに人が人を呼ぶ好循環が生まれることに期待したいところです。

「親が知らなければ就職に繋がらない」高校生採用のターゲットは“保護者”

【平】さらに商工会議所と長崎県内の高校が「就職・採用についての意見交換会」を行った際に、高校側からこんな意見が上がったようです。

長崎商工会議所 森 拓二郎会頭:
「地元高校と“就職採用に関する意見交換”を繰り返し行ってまいりました。
ターゲットは“保護者”であると。
親にわかるように専門用語は極力避け分かりやすい表現にしてほしい」

【平】5月に行われた県内企業と高校の情報交換会の中でも、高校生が関心を持った企業を保護者が知らず、就職につながらなかったケースがあると、高校側からの話がありました。

商工会議所と高校の意見交換会では、高校側から──
(1)保護者に分かるように専門用語は極力避け、分かりやすい表現にしてほしい(2)求人票には企業の福利厚生・給与体系・研修内容などを詳細に記載をしてほしい
(3)QRコードなどで企業のPR動画を閲覧できる工夫をしてほしい
──といった要望があったそうです。

今回のサミットを受けて、人材確保について今すぐに出来そうな提案もありましたので、企業側もぜひ採用活動に活かしてほしいと思います。

【平】長崎サミットの4つの活動分野の一つに「地域の産業を担う人材育成・確保」がありますが、今回の長崎サミットで取り上げられた8項目のうち、3項目は人材に関する取り組みでした。
全国的に人手不足は深刻化していますが、森会頭が席上で発言されたとおり、この部分も地域間競争です。
この競争に勝つためにも、前回のサミットで提示された4つのキーワードのうち「長崎らしさ」への意識と「若者」の活躍の場の提供が大切になってくると思います。

【平】最後に今回の長崎サミットについての感想を申し上げたいのですが、今回の長崎サミットでは報告事項が多かったため、意見交換の時間が殆どなかったのが残念でした。
せっかく長崎のトップの方々が一同に会する機会ですので、次回はテーマを絞り、たっぷりとディスカッションの時間を取って欲しいと思います。