被爆体験者がいた地域で原爆由来の雨や灰などが降ったかを調べるため、厚生労働省は来月から追悼平和祈念館が収蔵する『被爆体験記』の調査に着手する方針を明らかにしました。
これは14日、東京都内で行われた野党国会議員の有志らで作る『被爆者問題議員懇談会』の会合内で厚労省が明らかにしたものです。

『被爆体験者』について国は「過去の裁判との整合性」のほか「原爆由来の雨や灰などが降った客観的資料がない」ことを理由に被爆者認定を拒否しています。

長崎県と長崎市は「被爆地以外でも放射性降下物が降った証拠になる可能性がある」として原爆死没者追悼平和祈念館が収蔵するおよそ11万7千余りの『被爆体験記』を調査するよう国に求めていました。
厚労省は広島の祈念館で2020年から同様の調査を実施し、黒い雨が降った範囲が被爆地域を上回ることを示す調査結果を出しています。

長崎に関してはこれまで「調査の予定はない」としていましたが、県と市の要望を受け来月中旬から調査に着手。
年度内をめどに全ての体験記を読み込み、関連情報を精査する方針で、被爆体験者の救済につながるかが注目されます。