知的障がいがある受刑者の社会復帰に向けた支援事業が昨年10月から長崎県諫早市の長崎刑務所で始まっています。

受刑者の再犯を防ぎ社会に適応していくための取り組みの現場がこのほど公開されました。

法務省によりますと、知的障がいがある受刑者は、受刑中や出所後に必要な支援を受けられず“短期間で再犯を繰り返す傾向が高い”とされています。

全国で唯一『社会復帰支援部門』がある長崎刑務所では、九州各県から知的障がいがある受刑者を集めて、『社会復帰を支援するモデル事業』を昨年10月から始めています。

長崎刑務所 竹内 徹 所長:
「(この事業は)必要な支援がこの刑務所在所中から進み、途切れることなく出所後の支援に結びつけることで、ひいては安心・安全な地域社会の実現に寄与できるのではないかと期待しているところです」

この事業について──
『受刑者の円滑な社会復帰のため包括的に連携しよう』と、長崎刑務所と県、諫早市が。
また、『事業効果の検証に連携して取り組もう』と、法務省と愛知県の日本福祉大学がそれぞれ、協定を結びました。

長崎刑務所には事業の対象となる受刑者が現在、22人入所しています。
ここでは諫早市内の社会福祉法人「南高愛隣会」が連携し、それぞれの特性に合わせ『社会生活を送るための指導』や『職業訓練』を受けるほか『療育手帳の取得に向けた支援』を受けています。

受刑者に話す講師:
「(イライラして)もうあかんって思った時に、私は”その場を離れる”というのをお薦めしたいと思うんですけど」

法務省矯正局 薊理世子 調整官:
「全国に刑務所ございますが、熱意を持って“罪を犯した人の立ち直り”を支えて下さる協力者の方を いかに全国で見つけて協力してやっていけるかというのがすごくカギだと思っていまして」

モデル事業は5年間行われ、法務省では事業の効果を検証して将来的には全国に広げていきたいとしています。