内縁関係にあった女性を殺害した罪に問われた被告の裁判員裁判で、長崎地裁は4日、被告人が虚偽の主張を重ねているなど批難し、「被告人が被害者の殺害に何らか関与している疑いは濃厚」としながらも、無罪判決を言い渡しました。以下は判決文の「第5 結論」の全文です。
殺害への関与は濃厚も…
判決要旨より(第5 結論)
「本件では、殺害現場は上諏訪の家(被害者と被告人が2人で暮らしていた※NBCが追記)であることが認められるほか、本件プレハブ倉庫の設置・管理への関与、被告人の被害者の失踪当時における不審な行動、被害者殺害の動機として矛盾のない事実の存在等が認められるのであり、これらの事実関係に照らせば、被告人が被害者の殺害に何らかの形態で関与している疑いはかなり濃厚である」
しかし、被害者の殺害日時を特定することはできず、凶器も鈍体であることまでは判明しているものの、未発見であり、それが何であるかは確定できていない。
またA(被害者の遺体らしきものを運ぶなどの関与をしていたと証言する※NBC追記)が被告人の指示ないしは依頼により本件に関与していることは認められるにしても、その関与が被害者の殺害行為にまで及んでいるかやその場合における関与の程度を具体的に確定することも困難である」
「以上によれば、間接事実中に被告人が殺害の実行犯でなければ、合理的に説明することができない(少なくとも説明が極めて困難である)事実関係か含まれているとはいえない」
合理的な疑い残る
「そうである以上、被告人が被害者を殺害した実行犯であると認定するには合理的な疑いが残ると言わざるを得ない」
「(なお、既に述べたとおり、被害者が5月1日に上諏訪の家から門司に向けて出て行ったという被告人の公判供述は虚偽であると認められる。被害者やその遺族の置かれた状況やその心情を考えると、このような虚偽の主張を重ね続ける被告人の応訴態度は誠に遺憾と言わざるを得ない)」
「以上の次第であって、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により、被告人に対し無罪を言い渡しをする」