長崎市 西坂の丘にある「日本二十六聖人記念館」でいま『モザイク壁画』の修復が行われています。
西坂は、豊臣秀吉によるキリシタン禁止令により、1597年2月5日京阪地方へ伝導していたフランシスコ会宣教師6人と日本人信徒20人が処刑された丘です。
その後も多くの人々がこの地で処刑され、2019年11月にローマ教皇・フランシスコは、この地で祈りを唱えました。

現在、日本二十六聖人記念館 周辺には建物があるため、市民の目にほとんど触れることがない『壁画』ですが、9月に開業した西九州新幹線の車窓から見ることができるようになり、長崎ならではのランドマークとなることが期待されています。

駅前の再開発で一段と存在感を増している『二十六聖人・殉教の地』


修復が行われているのは、記念館の西側の壁です。
”信徳(しんとく)の壁” ──

ガウディを日本に紹介したことでも知られる建築家・今井兼次氏の代表作です。
タイルや陶器を組み合わせ、巨大な十字架と迫害の炎を描き出しています。


完成から今年でちょうど60年。
雨風を受け割れたり、剥がれたりした部分を直していく初めての修復作業が、今年5月から専門家の手で進められています。

遊工房代表 宮川 雄介さん:
「日本に多分こんな大きい宗教モザイク画はないと思う。世界も注目していて残さないといけないものだと強く思う」
60年、あまり人目に触れない場所で静かに殉教者を祝福してきました。

キリストを現すという ”白く大きな十字架” を近くで見ると、温かいハートがデザインされています。

その周りには、大小26の十字架。

カトリック信徒だった今井氏は、二十六聖人が歩いた京都から長崎までの道を自らたどり、捨てられた陶器を集めて壁画に使いました。
不要とされたものに新たな息吹を吹き込み殉教者の永遠の命を祝福したのです。

日本二十六聖人記念館 宮田和夫さん:
「ここはカトリック教会の『公式巡礼所』でもありますが、こういった場所に記念館があって、皆さんに ”信仰の息” を伝える場所が まさに再開発が進んでいる街のすぐ近くにあることを まず長崎市民に知ってもらいたい。
多くの観光客に来て頂いて、長崎の歴史が持つ ”奥深さ” を感じて頂ければ、大変嬉しく思います」


西九州新幹線の車窓から見えるようになった祈りの壁画「信徳の壁」。
修復は10月いっぱいまで続く予定です。